2023 Fiscal Year Annual Research Report
非接触触覚刺激を用いたクロスモーダル効果による毛並み触感の提示
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
23H04333
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伴 祐樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (20789391)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 毛並み触感 / パラメトリックスピーカ / Virtual Reality / Pseudo-haptics |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,視触覚のクロスモーダルな感覚情報提示によって,実際の毛皮や毛を用いることなく毛並みを撫でるVR体験を実現することにある. 本年度はまず,代替的に提示する触覚情報としてどのようなものが適切かを検討するために,毛並みを撫でた際に手にかかる力の変化と毛並みの形状変化を計測するシステムを実装した.微小な力変化まで計測可能なピエゾフィルム(PVDF)を手を模した人工皮膚に調布し,それをスライダで動かすことによって,毛皮を撫でた際に生じる力変化を計測した. 触覚情報としては,微小な圧力を非接触で提示することのできるパラメトリックスピーカを用いて,計測した力の変化や粗さを提示する手法を実装した.力の変化についてはスピーカの出力強度によって調整し,粗さについては提示する周波数を調整することで提示した.視覚刺激については,梁の大変形モデルをベースとし,計測結果を近似する毛並みモデルを構築した.このモデルでは,毛並みに逆らって撫でた際の毛並みの逆立ちを再現することができる. 視覚情報の提示にはHead Mounted Displayを用い,実際にパラメトリックスピーカに対して手をかざしている位置 にバーチャルな毛皮を設置する.距離カメラの情報から推定した手の姿勢を元にバーチャルハンドを提示し,触り方に応じて表示する毛並みを変化させた. 予備実験の結果,構築した視触覚刺激により,毛並みを撫でた感覚を提示できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り,毛並みを撫でた際の視触覚情報を計測するシステムを実装し,それを用いた計測結果を元に視触覚毛並みモデルを構築した.実験参加者を募った予備実験の結果,構築した視触覚刺激により,毛並みを撫でた感覚を提示できる可能性が示唆され,次年度につながる知見が得られた. そのため,研究は当初の計画通り概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
構築した毛並み計測システムを用いて,毛足の長さや,硬さ,毛の密度など様々なパラメータを持つ毛並みを撫でた際の視触覚情報を計測し,それらの違いを毛並みモデルにより提示できるかを検証する.現状のモデルでは特に硬い毛に対しては提示が難しい可能性があるため,実際の毛並みの挙動を観察したのち,モデルの更新を実施する予定である. 加えて,本手法により提示した毛並みによって,実際の毛並みを撫でた際に生じるような情動変化が起きるか,発汗等の生理指標と質問紙による主観指標によって明らかにする.
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