2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the neuronal circuitry encoding innate/acquired emotional value of sound
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
23H04342
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 聴覚 / 神経回路 / 価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の実験を行った。 実験1:「行動及び側坐核ドーパミン濃度変化による、音の生得的価値の判定」 マウスの生得的な音への選好性について行動学的に検出する実験系の確立を行った。音として、(1)人工音(純音、ノイズ、AM変調音)と(2)マウスコミュニケーション音声を利用した。(1)について、マウスの頭部をディープラーニングによって自動判定し、その位置に応じて異なる音を発生する実験系を構築し、行動実験を行ったところ、先行研究と同様の選好性を検出することに成功した。(2)について、異なる状況における音声は違う意味を有すると考え、USVCAMを用いて動物が起こす行動に対応した音声を記録し、この記録音声を再生し、動物の選好性を検証したところ、侵入者が追いかけられているときに発している音声に第3者のマウスは近づくことがわかった。さらに、fiber photometry実験系の確立に成功した。 実験2:「生得的価値を有する音を分類する回路の可視化」 純音に対するフラビンイメージングを行い、TRIO法によって神経回路の同定を行った。すると、聴覚野はコア領域とその周辺の3つのシェル領域に分かれること、そして、シェル経路のうち、情動系と深い接続を持つ経路があることが判明した。 実験3:「音分類回路と価値回路の機能的接続の立証」 情動価を有する音によってどの脳領域が強く活動するか、実験1で採集したコミュニケーション音声にマウスを暴露し、c-fosに対する免疫染色を行った。現在全脳におけるc-fos発現細胞のマッピングを行っているところである。 実験4:「音分類回路・価値回路の活動制御による行動変容」 については本年度は実施しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1について、様々な音に対する生得的な価値を行動によって検出する方法と、ドーパミンシグナルによって検出する方法の両方について、概ね計画に基づき実施を完了できた。 実験2について、TRIO法によって情動系と深い接続を持つ聴覚伝導路の同定に成功した。 実験3について、情動価をもつ音信号に対して応答する脳領域のマッピングに着手できている。 実験4については、当初の予定通り2024年より実施することとした。 これらの点から、計画通りの研究の進行状況と言え、「概ね順調」と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1について、生得的な価値を持つ音刺激のレパートリーを追加する。また、条件付によって後天的な価値の付与の実験も行う。fiber photometryによるドーパミン濃度計測が行動実験と同様の結果を示すかについて検討する。 実験2について、生得的な価値を持つ音刺激を用いてフラビンイメージングを行い、2023年度に同定した情動と関係を持つ経路の活性化が起こるかについて検討を行い、加えてTRIO法も実施する。 実験3について、c-fosマッピングが完了次第、価値を持つ音刺激によってc-fosの発現が多く見られた脳領域を対象として、TRAP2マウスを用いたmonosynaptic tracing を実施する。 実験4について、c-fosマッピングによって判明した脳領域に対してchemogeneticsを実施し、行動実験によって検討を行う。
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