2023 Fiscal Year Annual Research Report
Topological data analysis of biological time-series data
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing data descriptive science and its cross-disciplinary applications |
Project/Area Number |
23H04466
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
一宮 尚志 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90455618)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 位相的データ解析 / 時系列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はパーシステントホモロジーを用いた新たな時系列解析手法の開発を行った。これまで、パーシステントホモロジーを用いた時系列解析の成功例は限られていた。この理由としては、時系列データにはパーシステントホモロジー解析に必要なフィルトレーション構造が入れづらいこと、高次元データの解析にかかる計算コストが大きいことなどが挙げられる。こういった問題を解決するため、本研究では、時系列データから一度距離行列を計算し、この行列に対してパーシステントホモロジーを用いることで時系列の特徴を解析する手法を提案した。いくつかの力学モデルや生体データなどについて本提案手法を用いて解析を行い、本手法が有望な解析手法であることを見出した。これについては、国際研究集会「TDA Week 2023」、「STATPHYS 28」、および国内研究集会である日本物理学会第78回年会にてポスター発表を行った。 また、これと並行して、パーシステントホモロジーと機械学習を組み合わせ、生体から得られる時系列データの解析を行う研究を行った。本年度は準備段階として、研究対象となるデータの選択、解析手法の選択、および予備的な解析を行った。具体的タスクとしては、12リード心電図のデータから心疾患などの判別を行うこととし、用いるデータとしてはサンプル数が多いPTB-XLデータベースのデータを用いることとした。このデータベースを用いた先行研究として、ResNetと呼ばれる深層学習モデルでの結果が公開されている。そこで、ResNetとパーシステントホモロジー解析を組み合わせた深層学習モデルを構築し、先行研究より高い性能を持つ判別法を開発することを目標とした。この課題については現在研究進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の主な目標は、新しい解析手法の開発、およびそれを用いた心電図データの解析であった。これについては解析手法の開発は達成、心電図データの解析についてはデータの入手と整形、および予備的解析までは完了している。できれば2023年度中に完全に解析を終了したかったところではあるが、全体としては概ね順調に推移している。また発表についても、国際学会2件、国内学会1件の計3件行っており、一定の成果を得られている。 一点問題があるとすれば、他の研究者との共同研究があまり進められなかった点が挙げられる。本研究計画として、領域会議などを通じ他の研究者と交流を図り、共同研究を行うというものがあった。予定通りにいかなかった理由としては、やむを得ない事情により領域会議を欠席したこと、感染症により一部学会の対面参加を諦めオンライン参加に切り替えたことなどが挙げられる。この点については、今後改善の必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り、パーシステントホモロジーと機械学習を融合して12リード心電図から心疾患を判別する手法を開発する。現在、具体的な計算アルゴリズムの試作を行っており、秋までにはまとめて論文投稿を行うことを計画している。また、いくつかの国内学会・国際学会でも発表を行う予定である。 またパーシステントホモロジーに限らず、その他の時系列解析手法の開発も検討していきたいと考えている。近年機械学習の分野においては、Physics-Inspired Neural NetworkやSymbolic Regressionなど様々な手法が提案され、ライブラリとして実装されている。こういった技術を用いることで新しい時系列解析手法を開発できないか検討を行う予定である。 また、これと並行して、他の研究者との共同研究についても積極的に関与していきたいと考えている。そのため、領域会議や国内学会、国際学会に積極的に出席し、人的交流を深めていく予定である。
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