2023 Fiscal Year Annual Research Report
Unraveling factors that determine the difficulty of learning in quantum machine learning
Publicly Offered Research
Project Area | Foundation of "Machine Learning Physics" --- Revolutionary Transformation of Fundamental Physics by A New Field Integrating Machine Learning and Physics |
Project/Area Number |
23H04499
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
工藤 和恵 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (30505574)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子機械学習 / イジングマシン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の量子コンピュータ開発の加速を背景に、量子機械学習が注目を集めている。量子機械学習には、それに特有の部分と従来の機械学習にも共通する部分がある。本研究の目的は、それらをいくつかの要素に切り分けて考えることで、量子機械学習における学習の難しさが何によって決まるのかを解明することである。 2023年度は、イジングマシンを用いたハイブリッド・アルゴリズムおよび量子回路を用いた量子ダイナミクス計算の研究に取り組んだ。 アニーリング型量子コンピュータおよびこれに着想を得て開発された疑似量子技術による計算機をイジングマシンとよぶ。イジングマシンは、組合せ最適化問題およびサンプリングに特化した計算機であるが、従来型計算機と併用したハイブリッド・アルゴリズムで機械学習を効率的に行う手法が提案されている。本研究では特に、非負値二値行列因子分解(NBMF)を用いた協調フィルタリングおよび多値分類、組合せ最適化問題としての推薦システムに取り組んだ。 量子回路を用いた量子ダイナミクス計算の研究では、特に1次元量子多体系の局在現象に注目した問題に取り組んだ。ゲート型量子コンピュータを用いた計算を想定して、単純な測定で得られる量を用いた局在現象の観測の可能性を議論した。量子回路シミュレーションでは、小さな系でも可能性があることが示された。ノイズの影響をうけるゲート型量子デバイス実機を用いた計算では、判定に適した量とそうでない量があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イジングマシンを用いた非負値二値行列因子分解や組合せ最適化問題の解法、および量子回路を用いた量子ダイナミクス計算の研究について、研究結果の一部を学会・研究会で発表した。また、イジングマシンを用いた非負値二値行列因子分解による多値分類の研究成果、および量子回路を用いた計算による1次元量子多体系の局在現象の研究成果については、査読付き論文誌への論文発表も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きイジングマシンを用いたハイブリッド・アルゴリズムの研究を進めるとともに、量子回路を用いたハイブリッド・アルゴリズムおよび微分方程式の求解の問題に取り組む。 イジングマシンを用いたハイブリッド・アルゴリズムでは、NBMFおよびFMQAを扱う。NBMFは辞書学習の手法の一つである。学習の難しさには入力データの性質も影響するため、複数のデータセットを用いて結果を比較する。FMQAはイジングマシンを用いたブラックボックス最適化の手法であり、材料探索などで成果をあげている。本研究ではFMQAをシンプルな問題に適用して、イジングマシンで解く部分問題を解析する。量子回路を用いたハイブリッド・アルゴリズムでは、量子オートエンコーダを扱う。主にエンコードの方法と、最適化部分の影響について調べる。 微分方程式は、典型的な計算科学の問題である。微分方程式を差分化し、それを行列で表すことで一般化固有値問題に落とし込むと、最適化問題として解くことができる。問題の定式化を行う際にいくつかの要素が求解性能に影響を与える。条件を変えながら調べることで、微分方程式の求解の難しさ作用する要素を明らかにする。
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