2023 Fiscal Year Annual Research Report
Probing primordial fluctuations with machine learning
Publicly Offered Research
Project Area | Foundation of "Machine Learning Physics" --- Revolutionary Transformation of Fundamental Physics by A New Field Integrating Machine Learning and Physics |
Project/Area Number |
23H04515
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
高橋 智 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (60432960)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原始密度揺らぎ / 機械学習 / インフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、機械学習の手法を用いて原始密度揺らぎパワースペクトルの性質を観測データから探り、そこから得られる知見により、インフレーションの詳細なメカニズム、原始密度揺らぎの生成機構を検証していくことである。
当該年度においては、機械学習を用いて原始密度揺らぎを探る手法について、原始密度揺らぎパワースペクトルをどのように記述するか(どのようなパラメタを用いて記述するか)、その方法論について検討した。本研究では出来るだけパワースペクトルに対する関数形を仮定せずに、宇宙背景放射等の宇宙観測データを用いて原始密度揺らぎパワースペクトルを探っていくが、この際、ハッブル定数問題等から示唆される観測データ間の矛盾がパワースペクトルの決定にどのような影響を与えるか、まずは少ないパラメタを用いてパワースペクトルを記述する場合について調べた。その結果、用いるデータセットおよびスペクトルの記述法により、パラメタに対する制限が変わり得ることが分かった。より一般的なパワースペクトルの記述を考えた場合は、この傾向がより顕著になると考えられるため、今後の解析においてはこの点を考慮して研究を進めていく。
また、機会学習を用いた手法として、特に原始密度揺らぎパワースペクトルに特徴的な形(振動等)を予言するモデルを探る際の解析法として、クラス分類的なアプローチについて検討も行った。このクラス分類的なアプローチにより、パワースペクトルの特徴から背後のモデルを探っていけるか、方法論の構築も含め、今後さらなる研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、原始密度揺らぎパワースペクトルを幾つかの観測データを用いて探っていく場合、特にデータ間の矛盾が指摘されているデータセットを用いた場合に関して、考慮すべき点(注意すべき点)について検討することができた。この点は今後、原始密度揺らぎパワースペクトルを出来るだけ関数形を仮定せずに解析する際、より影響を与えると考えられ、解析手法の方向性を検討する際に重要となり得る。今後の解析に関する知見を得るなど、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、原始密度揺らぎパワースペクトルを観測データから再構成するための解析を進めていく。さらには、プランク衛星による宇宙背景放射の温度密度揺らぎ角度パワースペクトルのある角度スケールに見られる振動のような構造が原始密度揺らぎの生成の際の物理過程に起因するものかどうか、様々なモデル(機構)に基づいた予言をクラス分類的なアプローチで調べていく。このようなアプローチはこれまでの原始密度揺らぎの研究では殆ど行われていないため、その解析手法の構築も含め、研究を進めていく。
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