2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method to calculate the spectral function for strongly correlated electron systems using hidden-layer fermion degrees of freedom
Publicly Offered Research
Project Area | Foundation of "Machine Learning Physics" --- Revolutionary Transformation of Fundamental Physics by A New Field Integrating Machine Learning and Physics |
Project/Area Number |
23H04528
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
酒井 志朗 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 上級研究員 (80506733)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / スペクトル / 仮想的フェルミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
互いに相互作用している多電子系のハミルトニアンを、複数の仮想的なフェルミオン自由度を導入した一電子ハミルトニアン(相互作用のないハミルトニアン)にマップすることで、スペクトル関数を計算する方法論の開発に取り組んだ。多電子系のハミルトニアンとしてアンダーソン不純物模型を選び、波数に依存しない自己エネルギーの周波数依存性を仮想的なフェルミオン自由度を使って表現する。仮想的なフェルミオンのエネルギーや電子との混成が取りうる値はスペクトル関数のエネルギーモーメントに関する総和則によって制限される。その制限の範囲内で、全エネルギーを最小化するようにそれらの値を決定する。このようなアルゴリズムの開発と数値計算プログラムへの実装に取り組んだ。 総和則には、スペクトル関数をそのまま用いて導かれるものとフェルミエネルギーで反対称化して導かれるものの2系統があり、前者は解析的に周波数積分を実行できるため扱いやすいが、後者を精度良く扱うためには数値計算上の工夫が必要である。本年はこの部分のアルゴリズム開発とプログラム実装を行なった。また、相互作用している電子系の自己エネルギーの周波数依存構造を有限個の仮想的フェルミオンで表現する場合、各フェルミオンに有限の寿命を考慮する方が精度が上がると考えられるため、この寿命もパラメーターとして考慮するような実装を試みたが、非占有状態側にある仮想的フェルミオンの寿命を決定するのは難しいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェルミエネルギーにおいて反対称化したスペクトル関数のエネルギーモーメントについての総和則は、そのまま数値積分を実行すると、高次のモーメントになるほど高エネルギーのテイルの影響を受けやすくなることがわかった。そこでこれを回避するため、仮想的フェルミオンが生む極の留数を数値的に評価して足し合わせる方法を採った。この計算に必要なサブルーチンなどの部品の整備はほぼ終わったものの、総和則を用いて自己無撞着に仮想的フェルミオンのパラメータを決める部分のアルゴリズムは開発途上である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、仮想的フェルミオンの寿命については最適化せずパラメータとして設定する形で、仮想的フェルミオンのエネルギーと混成の値のみ最適化するようなアルゴリズムを開発しプログラムに実装する。その後で、仮想的フェルミオンの寿命について正負のエネルギーでの対称性を仮定し、全エネルギーの最小化から決定するアルゴリズムを開発する。
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