2023 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークを用いた密度汎関数理論の展開
Publicly Offered Research
Project Area | Foundation of "Machine Learning Physics" --- Revolutionary Transformation of Fundamental Physics by A New Field Integrating Machine Learning and Physics |
Project/Area Number |
23H04530
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
明石 遼介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子機能創製研究センター, 主幹研究員 (40734356)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 密度汎関数理論 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では, 多体系における第一原理計算の基盤理論である密度汎関数理論について、ニューラルネットワーク(NN) を用いて基礎理論の展開を図る。特に,定義に汎関数微分を含むため評価が難しかった量について,交換相関汎関数をNNを用いて実装することにより実行可能な計算アルゴリズムを構成することを目指す.具体的対象はバンドギャップおよび交換相関エネルギーである.
本年度は,モデル系として一様電子ガス系について理論的検討を行った.この系は従来の汎関数の定式化の参照系として使われるが,本課題ではこれにわずかな回折ポテンシャルを入れた場合についてその振る舞いを調べた.回折ポテンシャルにより系のスペクトルがギャップを示すようになるが,この際の電荷ギャップと,密度汎関数計算による見かけのギャップの差異を評価する方法について定式化を行った.先行研究と比較を行ったところ,一部の数式に差異が存在することがわかったため,その妥当性について考察を進めた.
一方,ギャップが開く場合に限らないより一般的な回折ポテンシャルの場合について,電子状態密度分布をコントロールする機構を発見したため,これについても考察を進め,研究報告を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で対象とするのはバンドギャップおよび交換相関エネルギーの機械学習による実装である.そのために簡単な系について数値的厳密な交換相関汎関数の振る舞いを調べる計画であった.この際モデル系としてほとんど一様な電子ガスを選んだが,その振る舞いが,当初想定していない豊かな理論的構造を持っていることが判明したため,これの考察について時間を費やした.これにより来年度の研究推進に活かせる成果を得ているが,一方当初の作業目標からはやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きほとんど一様な電子ガスについて,バンドギャップと,密度汎関数理論に基づく見かけのギャップの差について数値計算により調べる.数値計算上の問題がある場合は,適宜モデル系をさらに簡単にすることも想定する.続いてその差を,ニューラルネットワークにより拡張された交換相関ポテンシャルを用いることで埋めることができるかを調べ,論文にまとめる. また,交換相関エネルギーの数値的厳密値については,physics informed neural networkという手法がさまざまな微分方程式の求解に有用という報告が最近挙がっている.この方法を用いた数値解法の実装を試みる.
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