2023 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌由来新規酸化酵素ファミリーの機能開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Systems biosynthetics based on accumulation, prediction, and creation of biological reactions |
Project/Area Number |
23H04538
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾崎 太郎 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (40709060)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 生合成 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、糸状菌に見出された新規酸化酵素ファミリーUstYaの機能開拓を目的としてゲノムマイニングを実施する。2023年度は、UstYaを含む生合成遺伝子クラスターを複数選定し、麹菌を宿主とする異種発現系を利用して機能解析を検討した。解析を行った遺伝子クラスターのうち、一つで生成物を確認することができたため、さらに解析を進めた。本遺伝子クラスターには骨格構築に関わる非リボソームペプチド合成酵素遺伝子が含まれており、この遺伝子を基質供給のための遺伝子とともに麹菌内で共発現したところ、LC-MSで生成物を確認することができた。さらに、5種のUstYa遺伝子を含む遺伝子クラスターに含まれる他の生合成遺伝子を共発現したところ、上記の生成物からさらに変換が進んだことを示唆するピークを確認した。生合成遺伝子の組み合わせを変えて形質転換体を作製し、各形質転換体の代謝産物を比較することで、非リボソームペプチド合成酵素により生合成されたペプチドが複数のUstYaにより変換される経路を推定することができた。続いて、各代謝産物のm/z値から推測される化学構造をもとにUstYaを考察した結果、アミノ酸残基側鎖のヒドロキシ化などこれまでに知られているUstYaの機能に加え、新たなタイプの変換が示唆された。各生成物のMSフラグメントの解析等からも仮説が支持された。現在、各生成物の単離と構造決定を進めており、NMR等の分光学的解析により化学構造を決定することで、生合成経路及び解析対象としたUstYaの機能を明らかにできるものと期待される。 以上の研究成果について、日本農芸化学会2024年度東京大会及び日本薬学会第144年会の一般講演として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補として解析を進めた研究対象のうち、一つで異種発現により生成物を同定することができた。研究の目的として、UstYaの新たな機能を開拓することを挙げているが、これまでに知られていない新たな機能を示唆する結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初めに2023年度に構築した形質転換体から代謝産物を精製し、NMRや質量分析を用いて化学構造を決定する。続いて、単離した化合物を基質として、標的とするUstYa発現形質転換体による微生物変換実験や、無細胞抽出液を用いた酵素活性の検出を検討する。酵素活性が検出できた場合は、補酵素要求性の調査や活性化区分の分画などを行い、酵素の諸性質を調査する。 これと並行して、骨格構築酵素としてポリケチド合成酵素を含む生合成遺伝子クラスターなど、これまでに解析例のない標的を選定し、機能解析を進める。
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