2023 Fiscal Year Annual Research Report
単一素子超螺旋光光源の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Chiral materials science pioneered by the helicity of light |
Project/Area Number |
23H04589
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北村 恭子 東北大学, 工学研究科, 教授 (40635398)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フォトニック結晶レーザー / 超螺旋光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単一素子で超螺旋光を発生する光源を開発するため、高次(|l|≧1)のPoincare球表示から、複数のベクトルビームの重ね合わせにより超螺旋光の代表例であるラゲール・ガウス(LG)ビームの生成を目指している。 本年度は、フォトニック結晶(PC)を構成する格子点に対する空間的な変調の設計により、任意のベクトルビームを生成可能な空間変調フォトニック結晶レーザー(PCSEL)を用いて、複数のベクトルビームモードを単一素子内で、同時に回折させることで、空間変調PCSELから直接的にLGモードを生成することに取り組んだ。複数の空間変調を同一面内に集積した電極直径100μmを有するPCSELを試作した結果、モードの重ね合わせを確認するに至った。一方で、位相回転方向の制御には至らなかったため、出射ビームの面内での位相分布を得ることは出来なかった。今後は、本試作により得られた実験データを下にして、さらなる変調設計の改善を行い、位相回転制御に繋げる予定である。 同時並行的に行っていた、電極直径500μmを有するPCSELの出射表面に対して、螺旋状位相板をナノ加工により集積することで、W級の出力を有する高次(l=1, 2, 3)のLGビームの生成に成功し、その結果を国際論文誌にて報告した。ビームのモード純度は、設計限界にほぼ同等のものが得られており、本学術変革領域において前提条件となる超螺旋光をアライメントフリーに、かつ、マイクロチップでの実装が可能となる結果を得たと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、螺旋状位相板集積型のPCSELによりW級でモード純度の高いLGビームを得ることに成功した。また、フォトニック結晶を構成する格子点に対する空間的な変調の設計により、複数のベクトルビームモードを単一素子内で、同時に回折することで、ビームモードの重ね合わせを確認するに至った。位相回転方向の制御には至っていないものの、複数モードを単一素子内で重ね合わせるという原理実証には至ったため、おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策として、現在の課題である位相回転方向の制御のためには、上方回折位相に僅かな差を与えることで、位相回転方向の制御ができるのではないかと考えられる。この原理をシミュレーションおよびPCSELの試作によって実証する予定である。
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