2023 Fiscal Year Annual Research Report
メソポーラス有機シリカを鋳型とする金属触媒種の配列と触媒機能探索
Publicly Offered Research
Project Area | Supra-ceramics: Molecule-driven frontier of inorganic materials |
Project/Area Number |
23H04641
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中島 裕美子 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (80462711)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有機ケイ素化合物 / メソポーラス有機シリカ / 触媒 / カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者の研究ポテンシャルである『有機ケイ素化合物の精密合成技術』を用いて前駆体となる有機ケイ素化合物を一から設計・合成し、独創的な反応場鋳型となるPMOを合成する。さらに申請者のもう一つの研究ポテンシャルである『錯体触媒設計技術』を掛け合わせることで、シリカ細孔壁内に反応活性を示す複数の金属触媒種が精緻に配置された、新しい反応場の構築を目指す。 2023年度の取り組みでは、研究室で独自に開発したホスフィン配位部位を有するメソポーラス有機シリカを担体とするパラジウム触媒を開発し、芳香族塩化物を基質とする鈴木・宮浦カップリング反応を達成した。さらに、本触媒系がアセチレン類の水素化に汎用触媒となるPd/Cと同程度の高い活性を示すことを見出した。また、トリエン配位部位を有する新しい規則性メソポーラス有機シリカ材料の開発に成功した。本研究の目標である、多核錯体(クラスター)反応場の構築に向け、礎を構築できたと言え、このことから、本研究を(2)おおむね順調に進展している と評される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請者の研究ポテンシャルである『有機ケイ素化合物の精密合成技術』を用いて前駆体となる有機ケイ素化合物を一から設計・合成し、独創的な反応場鋳型となるPMOを合成する。さらに申請者のもう一つの研究ポテンシャルである『錯体触媒設計技術』を掛け合わせることで、シリカ細孔壁内に反応活性を示す複数の金属触媒種が精緻に配置された、新しい反応場の構築を目指す。 2023年度の取り組みでは、研究室で独自に開発したホスフィン配位部位を有するメソポーラス有機シリカを担体とするパラジウム触媒を開発し、これを用いて芳香族塩化物の鈴木・宮浦クロスカップリング反応を達成した。通常、芳香族塩化物のクロスカップリング反応では、かさ高いホスフィン配位子による単核モノホスフィンパラジウム活性種を触媒として用いる必要があることが知られてきた。一方で、本研究ではホスフィン配位部位を有するメソポーラス有機シリカを固体配位子として用いることで、単核モノホスフィンパラジウム活性種の発生が容易に可能となることを見出した。これを用いることで、種々の官能基を有する芳香族塩化物のクロスカップリング反応を達成し、さらに従来触媒系では困難であったかさ高い芳香族塩化物を基質とするクロスカップリング反応を達成した。また、本触媒系がアセチレン類の水素化に汎用触媒となるPd/Cと同程度の高い活性を示すことを見出した。 もう一つの取り組みとして、トリエン配位部位を有する新しい規則性メソポーラス有機シリカ材料の開発に成功した。以上の研究では、本研究の目標である、多核錯体(クラスター)反応場の構築に向け、礎を構築できたと言え、このことから、本研究を(2)おおむね順調に進展している と評した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ホスフィン配位部位を有するメソポーラス有機シリカを担体とするパラジウム触媒によるアセチレン類の水素化は、当初予想していなかった派生的研究成果であるが、2024年度に論文発表を目指すべく、本反応の詳細解明に。具体的には、基質適用範囲を検討し、反応機構解明に取り組む。 また、トリエン配位部位を有するメソポーラス有機シリカを用いた、多核反応場の構築に取り組み、これを用いた触媒反応へと展開をはかる。以上の取り組みにおいては、アルカンの官能基化など、種々の高難度反応にも積極的に取り組む。
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