2023 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟な行動変容に必要な情報選択の神経メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering and Manipulating Brain Dynamics for Emergence of Behaviour Change in Multidimensional Biology |
Project/Area Number |
23H04674
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宇賀 貴紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50372933)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチングは、ヒトを含めた霊長類特有の適応的な認知機能である。我々はこれまで、2つの環境(ルール)に応じて柔軟に判断を切り替えるタスクスイッチ課題をサルに適用し、柔軟な行動変容の神経メカニズムを解明してきた。そして、柔軟な判断に「どの」情報を収集するのかを制御するシステムが大きく関わっていることを明らかにした。本研究では、柔軟な行動変容に必須である情報収集と情報選択の制御機構を解明することを目的とする。そのため、情報選択の制御に重要と考えらえる前頭前野の広域脳動態情報を明らかにし、情報収集に特化した感覚-判断の局所脳動態情報との相互作用を明らかにする。 これまでの研究から、MT野ニューロンの活動が運動方向および奥行きに関する感覚情報を表現し、LIP野が判断に必要な情報だけを収集することがわかっている。つまり、MT野からLIP野の間で、情報の選択がなされているということになる。そこで、情報選択の実態を明らかにするため、MT野とLIP野の局所脳動態情報を同時に計測した。そして、MT野-LIP野のβ帯域およびγ帯域機能結合を計測した結果、判断に必要な回路ではMT野-LIP野のβ帯域機能結合が低下し、γ帯域機能結合が上昇することがわかった。Granger causality解析からβ帯域機能結合がトップダウンであり、γ帯域機能結合がボトムアップであったことから、判断に不必要な回路はトップダウン信号により結合が抑制され、必要な回路はボトムアップに解剖されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
柔軟な行動変容における情報収集に特化した感覚-判断の局所脳動態情報をMT野-LIP野の帯域別機能結合の変化という形で同定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は情報選択の制御に重要と考えらえる前頭前野の広域脳動態情報を明らかにし、情報収集に特化した感覚-判断の局所脳動態情報との相互作用を明らかにする。
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