2023 Fiscal Year Annual Research Report
認知バイアスを介した不確定性下の行動変容機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering and Manipulating Brain Dynamics for Emergence of Behaviour Change in Multidimensional Biology |
Project/Area Number |
23H04677
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 大 京都大学, 医学研究科, 教授 (90303817)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知的柔軟性 / 前頭前皮質 / 線条体 / 機能的MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
行動戦略のスイッチングに伴う神経活動変化を明らかにするために、局所脳動態のアプローチとして、マルチカラー内視顕微鏡によるライブ細胞イメージングにより、認知課題実施中のマウスの眼窩前頭皮質(OFC)第2/3層の神経細胞の神経活動計測を実施した。マルチカラーイメージングの利点を活かして、Ca2+指示タンパク質に加えて、神経細胞の位置及びモーション検出を目的として赤色蛍光タンパク質を同時に発現させることで、数週間にわたり同一神経細胞の神経活動を追跡した。課題試行中の神経活動がどのような情報を表現しているか、さらに試行間の神経活動も含めて単一細胞レベルの機能的結合性のダイナミクスについて解析を進めた。 また本内視顕微鏡技術を使ってFRETイメージングを実施し、線条体背側部のERK(Extracellular signal-Regulated Kinases)活性動態について解析を行なった。線条体中型有棘神経細胞(MSN)では、ERKがグルタミン酸受容体やドパミン受容体からのシグナルを核へ媒介し、可塑性制御に関わっていると考えられている。しかしながら実際の行動中の神経細胞のERK活性動態について詳細は不明である。内視顕微鏡により認知課題実施中のMSNの核内ERK活性について解析した結果、約40%のMSNの核内ERK活性ダイナミクスは、課題試行中の行動や課題の成否の情報を表現していることを見出した。 上記の内視顕微鏡による脳局所の解析と並行して、全脳スケールの脳動態のアプローチとして、認知課題実施後の無麻酔での安静時fMRIの解析も進みつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内視顕微鏡によるCa2+イメージングについて、単一細胞の精度で追跡できるようになった結果、行動の変化に伴うOFC局所神経回路の神経活動アンサンブルや機能的カラム様構造の変化について知見が得られつつある。また線条体MSNの解析により、同一神経細胞のCa2+活動とERK活動がそれぞれ異なる行動面の情報を表現していることが明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
内視顕微鏡による神経活動解析については、DeepLabCutによる行動データ解析を導入することで、単に課題の成否のみならず、行動変容とOFC神経活動の推移の関係性について詳細な解析を進める。安静時fMRIのデータ解析も引き続き進めていく。
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