2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development and application of image-based Bayesian inference of mechanical parameters
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanical self-transformation of living systems |
Project/Area Number |
23H04698
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉村 薫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50466033)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 力学 / ベイズ統計 / 形態形成 / 上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体秩序形成の力学制御を解き明かすには、細胞集団の力学モデルのパラメータを実験データから精度高く評価することが必須である。しかし 、既存のパラメータ評価手法は細胞の多角形分布などの要約統計量を用いた間接的な比較に留まっており、直接的な評価手法の開発が待たれていた。研究代表者は最近、実験データに基づいて力学モデルの数式を設計し、データが持つ情報から直接、パラメータを高速かつ高精度に推定する手法を報告した (Ogita et al. 2022)。本研究では、力学パラメータ推定法をベイズ推定で再定式化することで、より多くの情報を反映した統合的な推定を実現することを目指す。
2023年度は、力学パラメータ推定法の単層ベイズモデルと階層ベイズモデルを実装し、人工データを用いたテストを実施して、パラメータ推定およびモデル選択の正確性を確認した。開発した手法を用いて、オリジナルの手法では多重共線性が原因で実現できなかった細胞皮質弾性項を含んだモデル選択を行ったところ、当該分野の既存研究で現象論的に足されていた細胞皮質弾性項が細胞の力学(力-形態相関)にほぼ寄与しないことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像データから力学パラメータをベイズ推定する手法の実装と検証、ショウジョウバエ上皮組織への応用についてまとめた論文を投稿するなど、当初の予定通りに進行している (Yan et al. bioRxiv, 2024)。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 2023年度に得られた研究成果の論文発表 画像データから力学パラメータをベイズ推定する手法の実装と検証、ショウジョウバエ上皮組織への応用についてまとめた論文を出版する (Yan et al. bioRxiv, 2024)。 2. 力学パラメータと細胞動態・極性の相関の解析 力学パラメータ推定法を、野生型もしくは変異型のショウジョウバエの上皮組織に適用し、力学パラメータの推定値と細胞の動態や極性を比較する。 3. 力学パラメータの機能的意義の解明 力学パラメータと細胞動態・極性の間に興味深い相関が見出されれば、より詳細な解析を進めて、力学パラメータの機能的意義を明らかにする 。例えば、力学パラメータの推定値をCell Vertex Modelに取り込んだ数値計算を実施し、細胞の動態や組織の形状に与える影響を解析する。
|