2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanical feedback system that allows for directional growth and posture control in plants
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanical self-transformation of living systems |
Project/Area Number |
23H04708
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
本瀬 宏康 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (70342863)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 極性成長 / 姿勢制御 / 張力応答 / メカニカルシグナル / 微小管 / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物では、形態形成に伴って発生する張力の方向に微小管が整列し、方向性のある成長や姿勢制御が行われる。しかし、その機構はわかっていない。本研究では、張力に応答して極性局在するNIMA関連キナーゼ(NEK6)を用い、張力応答のイメージングとそのメカニズムの解析を行った。 1)張力応答のイメージング: NEK6-GFPを用いて、張力応答のイメージングを行った。花茎・めしべなど多様な器官を観察する方法、取得した画像からNEK6と微小管の配向を定量化する手法をほぼ確立した。花茎では、長軸に垂直な方向から、長軸方向へと変化する様子を明らかにした。また、張力応答は器官により異なり、細胞による多様性が見られた。このことから、発生段階によって張力応答が変動し、内部環境や外部刺激に柔軟に適応すると考えられた。 2)張力応答ドメインとイメージングツール: 張力応答機構を明らかにするため、NEK6の張力応答に必要な領域を限定した。この領域とGFPを融合した新規なイメージングツールを作成中である。また、8種類の組織特異的プロモーター制御下で、NEK6-GFPを発現する系統を作出し、組織特異的な張力応答とその機能を解析した。NEK6は表皮と維管束で張力応答に関わることが示唆された。 3)張力応答を制御する機構: 張力応答を制御する新規因子を同定するため、NEK6の張力応答ドメインを用いた相互作用因子の探索を行った。また、NEK6-GFP発現系統を変異原処理し、張力応答が異常な変異体候補の単離を行った。 植物では、アクチン繊維が張力応答に関与するのかわかっていない。アクチン阻害剤により、NEK6-GFPの極性局在が消失することから、アクチン繊維が張力応答において機能することが初めて明らかになった。また、2種類のアクチン変異体にNEK6-GFPを導入済みであり、その局在と張力応答を解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な組織・器官における張力応答のイメージングに成功している。特に、花茎・めしべ・種子など多様な器官における観察手法、NEK6と微小管の配向を定量化する画像解析法をほぼ確立している。これらの方法を用いて、器官によって異なる張力応答を明らかにした。柔軟な張力応答により、発生段階によって変動する内部環境・外部刺激に適応すると考えられる。 また、各種イメージングツールを開発した。張力応答・微小管への局在に必要な領域をGFPと融合したイメージングツールを開発した。また、8種類の組織特異的プロモーター制御下で、NEK6-GFPを発現する系統を作出し、NEK6が表皮と維管束で張力応答に関わることを示した。 加えて、張力応答を制御する新規因子を同定するため、NEK6の張力応答ドメインを用いた相互作用因子の探索、NEK6の張力応答が異常になった変異体候補の単離を行った。現在、1系統の特徴づけとマッピングを行っている。NEK6-GFPの極性局在を指標にすることで、アクチン繊維が張力応答に関与することを初めて明らかにした。現在、NEK6-GFPを発現する2種類のアクチン変異体を用いて、アクチンの役割を解析している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)張力応答のイメージング: 組織特異的な張力応答の結果をまとめ、論文を投稿する。細胞除去実験や変異体の表現型解析も併せてまとめたい。また、微小管を部分的にラベルする系統を用い、張力応答における動態を明らかにする。 2)張力応答ドメインとイメージングツールの開発: 張力応答に必要なドメインとGFPを融合した新規なイメージングツールの開発を引き続き行う。組織特異的プロモーター制御下でNEK6-GFPを発現する系統については、発現レベルが低いものがあるため、ゲノミッククローンを用いた株を作出中である。 3)張力応答を制御する分子機構: 相互作用因子と変異体候補の解析を引き続き進める。特に変異体についてはスクリーニングを継続して行い、有望な系統を増やす必要がある。また、NEK6-miniTurboを発現する系統を用いて、近位依存性ビオチン標識を行い、相互作用因子を特定し、新たな張力応答因子の特定と解析を行う。アクチンと微小管の2重ラベル株を用いて、張力応答におけるアクチンと微小管の相互作用を明らかにする。
|