2023 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄異花同株性が生まれる遺伝的背景の理論的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Genomic dynamics underlying the plastic hermaphroditism in plants: the basis of exploratory reproductive adaptations. |
Project/Area Number |
23H04736
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
印南 秀樹 総合研究大学院大学, 統合進化科学研究センター, 教授 (90444140)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生殖システム / 進化 / 植物 / 集団遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の雄蕊と雌蕊(もしくは雄花と雌花)、同様に、動物のオスとメスは形態的に大きな違いがあり、その発生、発達には多くの遺伝子が関与している。一方で、単一遺伝子が雌雄のスイッチングを行うケースの報告が目立つ。分子生物学的には、カスケード上位遺伝子のスイッチが、下位の遺伝子群を支配し雌雄に分化させるシステムであると理解できるかもしれない。しかし、そもそもこのような複雑なシステムがどのように出来上がったのか?本研究課題は、この問いに関して理論物理学のネットワーク理論を使うことによって答える。本申請者は「ネットワークには複数の機能を同時に実装する能力がある」という理論に、その答えがあるのではないかと目論んでいる。それを証明するために、遺伝子制御ネットワークの進化を集団遺伝学のフレームワークで考え、そのプロセスを理論的に記述する。第一ステップとして、両性花の背景には、雄蕊、雌蕊という二つの機能を実装するネットワークが存在することを実証する。そして、これを前提に、両性花から雌雄異花同株性の成立プロセスを理論的に検証する。本年度は、モデルの基礎を構築するのに成功し、それを用いてシミュレーションを繰り返している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、初年度にモデルの基礎を構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に構築したモデルを用いて、シミュレーションデータを蓄積していく。その中で、より現実に合致したパラメータの設定をしてゆく。最終的には、両性花から雌雄異花同株性の成立プロセスを理論的に解明する。
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