2023 Fiscal Year Annual Research Report
挑戦的な繁殖適応戦略の駆動力となる遺伝子発現多様性を生み出すゲノム動態
Publicly Offered Research
Project Area | Genomic dynamics underlying the plastic hermaphroditism in plants: the basis of exploratory reproductive adaptations. |
Project/Area Number |
23H04756
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川勝 泰二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (30435614)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イネ / 転写因子 / エピゲノム / cis変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界のイネコアコレクション(WRC)を対象として代表的なイネ転写因子について転写因子結合アトラスを取得し、遺伝子発現変化を引き起こす機能的なCRE変異を網羅的に同定し、種内多様化の遺伝的基盤を明らかにする。 今年度は、代表的なイネ転写因子のWRCゲノムDNAへの結合アトラスの取得と、WRCのDNAメチローム解析を進めた。これまでに、転写因子結合アトラスから同定したDNA認識配列のクラスタリングから、28種類の転写因子ファミリーを含む代表的な52種類の転写因子を選抜している。このうち24種類の転写因子について、WRC 57系統を含む61系統のゲノムDNAに対してDAP-seqを行い、18種類の転写因子について結合アトラスを取得した。大多数のピークは全ての系統で共通して観察されたが、系統特異的なピークも多数観察された。このことは遺伝子領域外におけるゲノム・エピゲノム変異が転写因子結合能を変化させたことを示している。DAP-seqでは精製したゲノムDNAを用いるため、影響を受けうるエピゲノムはDNAメチル化のみである。そこで、播種後3週間目のシュートから抽出したゲノムDNAを用いてWGBSを行い、61系統のDNAメチロームを取得した。CG、CHG、CHHいずれのクラスにおいてもゲノム全体のメチル化レベルはジャポニカ品種で高く、アウス、インディカ品種で低かった。遺伝子内のDNAメチル化レベルも亜種でクラスタリングされたことから、DNAメチル化パターンは亜種間で保存されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り代表的転写因子のうち18種類についてWRCを対象としたDAP-seqを実施し、自然変異が転写因子結合能に影響を及ぼすことを明らかにした。屋内型GCが不調のためATAC-seqは次年度実施することとし、その代わりに予定外であったDNAメチロームを取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
転写因子結合能を変化させる自然変異の同定については、全てのWRC系統を用いるのではなく、20系統程度に絞ることで、残りの全転写因子を解析する。また、屋内型GCの復旧が見込めないため人工気象機を導入してWRCのATAC-seqを行う。
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