2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the pros and cons of recognition of tumor-derived molecules by innate immune receptors
Publicly Offered Research
Project Area | Reevaluation of self recognition by immune system to decipher its physiological advantages and pathological risk |
Project/Area Number |
23H04772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳井 秀元 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (70431765)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症 / 腫瘍免疫 / DAMP / 近接ラベリングシステム / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、自然免疫受容体が疑自己細胞である腫瘍細胞に由来する分子群を認識し、免疫応答を誘導するのかどうか、またその応答が腫瘍免疫にどのように関わるのかを、「功」と「罪」の観点から明らかにすべく、独自に確立した腫瘍微小環境ラベル法を用いて腫瘍微小環境の時間変化も加味して解析を進めた。また、独自に見出しつつある炎症や免疫応答の制御に関与するDAMP分子について探索と同定を進めている。本年度は以下の検討項目により研究を進めた。1)腫瘍近接ラベリングシステムを用いて、腫瘍増殖の初期、中期、後期における微小環境中の免疫細胞集団の変化の解析、および遺伝子発現の変化の解析。また、2)新規DAMP分子について、分子の実体解明と免疫制御機構について解析を進めた。YUMMER1.7腫瘍細胞の担がんマウスにおいて腫瘍微小環境中にはCD8T細胞の浸潤が認められず、腫瘍微小環境外にCD8T細胞が蓄積していく像がラベリングシステムから見いだされた。また、自然免疫応答の関与を示唆する遺伝子発現変化も見られた。新規DAMPの探索から、ケモカイン、ストレス応答、組織修復応答を誘導するDAMP分子が存在することを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるのに必要な腫瘍微小環境ラベルシステムについて、微小環境中の免疫細胞や組織細胞を実際にラベルできることが判明し、フローサイトメータを用いての細胞集団解析もできるようになった。また細胞集団をソートし、RNA-seqにて解析することも可能であることがわかり、腫瘍移植後の比較的早期においてもラベルした細胞集団を確認することができ、今後も順調に解析していくことができると考えている。また、新規DAMPについて、本年度においてはCD8T細胞の活性化を阻害する死細胞由来分子としてポリアミン(スペルミジン)を同定し報告した。またさらに、新たなDAMP分子が存在することを突き止めており、同定も進めているところである。今後、分子の実体を明らかにできるものと考えている。ラベルシステムを用いた解析については計画より遅れが出ているものの、上記のような現状から、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って解析を進めていく。腫瘍微小環境ラベルシステムを用いた解析においては、CD8T細胞の微小環境中への浸潤がほとんど見られない現象について、腫瘍から遠位のCD8T細胞の挙動も含めて解析し、その理由について明らかにしていく。また、腫瘍増殖初期と後期での各種免疫細胞集団での遺伝子発現の差異について解析し、そこにおける自然免疫シグナルの関与について検討を進める予定である。新規DAMPについて、現在見出しつつある候補分子について同定を進め、腫瘍免疫や腫瘍増殖に与える影響について解析をすすめていく予定である。
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