2023 Fiscal Year Annual Research Report
Spatio-temporal variation of plankton bloom stimulated by Kuroshio intrusion on the bay mouth of Kagoshima Bay, Japan
Publicly Offered Research
Project Area | Macro coastal oceanography: integrated simulation for the material dynamics from the land through the open ocean |
Project/Area Number |
23H04823
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
小森田 智大 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 黒潮 / 栄養塩 / プランクトン / 鹿児島湾 / ブルーム |
Outline of Annual Research Achievements |
世界を代表する貧栄養な海流、黒潮は、沿岸に流入することで植物プランクトンの大増殖(プランクトンブルーム)を引き起こし、生産を活性化することが近年の研究で徐々に明らかになってきた。しかし、これまで黒潮の流入日の特定が困難なことから、黒潮流入からブルームに至る過程はブラックボックスのままである。申請者は黒潮が流入する鹿児島湾をモデル海域とし、黒潮の流入日を特定する独自の示標「海面水温の時空間変化」を開発し、黒潮流入後の経過日数の特定に成功した。本研究ではモデル海域で次の課題に取り組む。 (1) 黒潮流入後の日数に応じた水質とプランクトンブルームの変動過程の解明 (2) 人工衛星データ解析による黒潮が引き起こすプランクトンブルームの影響範囲の解明 本研究は、当該研究領域の問い「沿岸海洋の生物生産を支える栄養物質供給において、陸域と外洋のどちらが支配的か」に、「外洋の物理的力が沿岸底層の栄養物質を表層に供給し、プランクトンブルームを発生させる。」という解を提供する。結果は計画班B02に「プランクトン群集動態の実測」という知見を提供し、生態系モデルの検証データとなる。 モデル海域ではフェリーによる水温の連続観測が実施されており、湾口部と湾内の水温差を基準に黒潮の流入日を推定した。これまでの、2015年から現在まで10回を超える船舶による観測を継続しており、この結果をまとめ、黒潮の流入後の日数に応じた水質(水温、塩分、栄養濃度)およびマイクロプランクトン群集(細胞サイズ10 um以上の動物・植物プランクトンの分類群別)の遷移過程を定量的に評価した。その結果、黒潮の流入初期においては珪藻および無殻繊毛虫が優占する一方、時間の経過に応じて有殻渦鞭毛藻が優占する群集へと遷移することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去5年間分のサンプルおよびデータをとりまとめ、黒潮流入後におけるマイクロプランクトン群集の時間変化を表現することができた。 衛星データについて、利用できる範囲でSGLIの観測データの提供を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの観測は湾口部を中心としたトランセクト調査であり、水平的な広がりを評価できていない。さらに船舶による観測ではデータの間隔が疎らなため、時間解像度も粗い。そこで外洋水との移流とその影響について時間と空間両方の解像度を上げて解析をするために、本研究では人工衛星(しきさいのSGLI)で記録された海面水温とChl-a濃度を用い、黒潮が引き起こすブルームの時空間的な動態を解明する。
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