2012 Fiscal Year Annual Research Report
裁判員裁判における量刑審理・評議の在り方
Publicly Offered Research
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
24101502
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐伯 昌彦 千葉大学, 法経学部, 准教授 (10547813)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 裁判員裁判 / 量刑審理 / 量刑評議 / 手続二分 / 量刑分布グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、心理実験という手法を用いて、裁判員が関与する量刑審理や量刑評議の在り方について検討することを目的としている。本年度においては、心理実験において利用するための模擬裁判の映像の作成を行った。具体的には、文献研究等により、量刑審理や量刑評議の在り方を検討するうえで重要となるポイントを確認しつつ、それを踏まえた心理実験が行えるような模擬裁判映像のシナリオの作成作業を行った。そして、そのシナリオを、実務家に読んでもらいフィードバックを得ることで、シナリオのリアリティーの向上にも努めた。以上の手続きを踏まえて作成したシナリオを用いて、実際に劇団員の方々に模擬法廷内で演技をしてもらい、その模様をビデオにおさめた。そして、その映像を編集することで、心理実験に必要な模擬裁判の映像を完成させた。以上が、本年度における主たる研究実績である。 また、以上の映像作業作成と並行し、心理実験において問題としようとしているポイントについて、あくまで仮説段階であるが、先行研究等をまとめながら研究報告を行い、フィードバックを受けてきた。これにより、研究仮説の明確化、および実験結果の予測とそれを踏まえた制度的提言の内容について検討を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、当初計画によれば、心理実験に利用する模擬裁判映像作成を行うことを予定していた。実際に、その計画通り、すでに模擬裁判映像の作成は完了しており、その意味で予定通りに進展していると言える。 加えて、いくつかの研究報告を踏まえて、研究仮説等のさらなる明確化を図ることができたため、当初の計画以上の成果を得られているものと考える。以上の理由から、上記の区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作成した模擬裁判映像を利用した心理実験の実施、およびその分析が主たる課題となる。まず、心理実験を実施するために、質問票の内容や実験の細かな手順を確定する必要がある。この作業が心理実験の成否を分ける重要なポイントとなるので、十分に時間と労力をかけて実施したいと考えている。なお、心理実験を実施する際の一番の問題は、必要な数の実験参加者を確保できるか否かにある。この点で、一堂に必要な数の実験参加者を集めることができることが研究効率上も望ましいかもしれないが、それが難しい場合には、小規模の実験を複数回繰り返すことで対応したいと考えている。 実験の実施終了後は、その結果を統計ソフト等に入力し分析することとなる。それを踏まえて、文献研究なども必要な限りで追加して政策的な提言に結実できるように検討を進めることとしたい。
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