2012 Fiscal Year Annual Research Report
DV被害母子支援の地域連携―福祉・心理と司法の融合に向けたアクションリサーチ
Publicly Offered Research
Project Area | Law and Human Behavior |
Project/Area Number |
24101507
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安田 裕子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (20437180)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | DV被害母子 / 現場支援者 / 司法と臨床 / コミュニティ / 連携 / エンパワー / アクション・リサーチ / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)インタビュー調査:2012年6月~2013年1月に,民間の支援団体7機関(NPO法人DV防止ながさき,NPO法人さんかくナビ,NPO法人女性ネットSaya-Saya,NPO法人女のスペース・おん,NPO法人ハーティ仙台,NPO法人ウィメンズネット「らいず」,NPO法人レジリエンス),ならびに女性弁護士1人を対象に実施した。調査項目は,①DV被害者の回復の段階に応じた当事者支援の内容(母親支援,子ども支援,家族(親子)支援),②DV被害の当事者同士をつなげる働きかけ,③一援助者あるいは組織として,DV支援を継続してきた際に直面した困難と解決方法・工夫,④都道府県内外における他のDV支援関連諸機関・団体,および弁護士など司法関係者や行政との連携体制の現状と今後の展望,であった。いかなる目的でどのような支援を構成し,いかに母と子どもというタテの関係,母親同士・子ども同士というヨコの関係をむすび,また,援助者としていかに他の関連諸機関・団体や異分野の専門職と関係しながら,DV支援を継続してきたかを捉えることを念頭に,調査に臨んだ。 (2)学会報告:2012年12月8日に開催された対人援助学会第4回年次大会(於:神奈川県立保健福祉大学)の企画ワークショップで「DV被害母子への支援の実態と可能性―福祉・心理・行政・司法はいかに連携しうるのか」と題し,3つの報告を行った。指定討論者からは,より広い観点から,連携について考えることの必要性と重要性が提言された。一人ひとりの顔が見える規模のワークショップであったことを活かし,一言ずつ発言いただき,相互作用性を高め,つながりや連携を体感しながらのセッションになるよう心がけた。 (3)シンポジウムに向けた打ち合わせ:アメリカ・ミシガン大学の吉浜美恵子教授と,来年度実施予定のDV支援連携体制の構築に向けたシンポジウムに関する打ち合わせを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査を順調に進めることはできた。しかし,そのまとめの作業が多少難航している。次年度は,報告書の作成・配布に向けて,鋭意作業に取り組んでいく必要がある。なお,次年度は最終年度であり,DV支援連携体制の構築に向けたシンポジウムを開催する予定であるが,それについては主となる登壇者の調整を順調に進めつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)DV支援に従事している弁護士など司法関係者を対象にインタビュー調査を実施する。現場支援者(福祉職,心理職)と連携をとる必要性を感じたことがあったか(あるいは,連携をとった経験があるか),それはいつどのようなこと(当事者の身辺状況や回復の段階,ならびに連携の具体的内容)であったかなどについて,具体的に聴き取りを行うものである。人的ネットワークの関係上,京都・大阪の弁護士を対象に実施する予定である。 (2)福祉・心理と司法をむすぶシンポジウムを実施する。ミシガン大学の吉浜美恵子教授や吉田容子弁護士(市民共同法律事務所),他,DV被害者支援をしているNPO法人の代表,行政関係者などに登壇いただき,DV支援連携体制の構築に向けたシンポジウムを開催する。なお,研究計画では,カナダ・オンタリオ州ロンドンにあるCCFJS(司法制度における子どもたちと家族のためのセンター)の援助者2名を招聘する予定であったが,招聘者をアメリカ・ミシガン大学の吉浜美恵子教授に変更する。吉浜美恵子教授は『女性の健康とドメスティック・バイオレンスに関する国際調査―WHO国際調査/日本調査結果報告書』(夫・パートナーによる女性に対する暴力の状況と,それが女性の健康に与える影響を調べることを目的に,各参加者がそれぞれ無作為に抽出した標本に対して標準調査票を用いて調査を行う国際プロジェクト)を,ソーシャルワークの立場から,横浜市で実施した経歴をもつ研究者である。 (3)報告書を作成・配布する。 (4)国際学会ならびに国内学会に参加し,知見の共有を図っていく。なお,8th European Congress on Violence in Clinical Psychiatryならびに対人援助学会への参加を予定している。 (5)本公募研究の母体である新学術領域研究「法と人間科学」との共催により,DV実務者研修を実施する。
|
Research Products
(5 results)