2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物の屈性運動に関わる生理活性物質を用いた作用機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
24102509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
繁森 英幸 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70202108)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 重力屈性 / 光屈性 / Bruinsma-Hasegawa説 / Cholodny-Went説 / ダイコン / トウモロコシ / Raphanusanin / DIMBOA |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の光屈性のメカニズムとして、Cholodny-Went説が良く知られており、光側と影側でオーキシンの横移動が起こり、光屈性が誘起されるとしている。一方で、オーキシンではなく、光誘導性成長抑制物質が光側で生成され、光側の成長が抑制されることによって引き起こされるという、Bruinsma-Hasegawa 説が新たに提唱された。研究代表者らはこれまでにダイコン下胚軸の光屈性制御物質として、4-MTBIおよびRaphanusaninを見出し、また、重力屈性制御物質として、3,6’-disinapoylsucroseを見出してきた。また、トウモロコシからは光誘導性成長抑制物質としてDIMBOAやMBOAに着目し、それらの成長抑制作用と光屈性との関連性を明らかにしてきた。そこで本研究では、トウモロコシの重力屈性制御物質を探索擦ることを目的とした。 トウモロコシ芽生えに重力屈性刺激与え、屈曲角およびH2O2の蓄積を比較検討した結果、上側と下側組織でのH2O2の偏差分布ならびに続くリグニンの偏差分布が観測された。本研究結果は、これまでのダイコンでの研究成果と同様にBruinsma- Hasegawa 説に基づく重力屈性メカニズムの証明に貢献するものと思われる。一方で、ダイコンを用いたオーキシン極性移動阻害活性試験法を用いて天然物からの極性移動阻害物質を探索した結果、モッコウ、ゴボウ及びニガヨモギから、活性物質としてdehydrocostus lactone及び4-hydroxy-β-thujoneを見出した。天然からのオーキシン極性移動阻害活性の単離報告は少なく、屈性運動に関わるオーキシンの極性移動を調べる重要なツールとなり得るものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はイメージングMSを用いての屈性現象に関わる生理活性物質の植物体内での分布を調べる計画であったが、機器の設定に時間を要してしまい行うことができなかったため、その計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
イメージングMSが使用できるようになったので、屈性現象における生理活性物質の植物体内における分布を調べる研究を行う。また、生理活性物質の全合成ならびに蛍光ならびにアフィニティープローブ合成を行う予定である。
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Research Products
(10 results)