2012 Fiscal Year Annual Research Report
多点反応性ラベル化剤による天然物リガンド標的タンパク質化学修飾法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
24102516
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高岡 洋輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80599762)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / タンパク質工学 / タンパク質ラベリング |
Outline of Annual Research Achievements |
最近我々のグループで開発してきた細胞内在性タンパク質のラベル化に有効な「リガンド指向型化学」を応用して、細胞内タンパク質を19Fラベル化する方法を確立し、標的酵素の阻害剤認識を19F-NMRで解析出来るバイオセンサーを構築した。さらにその結晶構造解析を行なう事で、タンパク質への化学修飾の影響を詳細に調べる事に成功した。その結果小分子プローブ導入ではほとんどタンパク質の構造には影響を与えておらず、19Fプローブが阻害剤認識に応じて明確に環境変化を起こしていることが明らかとなった。すなわち、タンパク質表面を化学修飾する方法が、活性を損なわずに機能化する最適な方法論の1つである事を実証出来たと言える。一方、19Fバイオセンサーを赤血球細胞内でそのまま構築し、細胞内酵素の阻害剤結合ダイナミクスを細胞内・外で定量的に比較する事に成功した。その結果、細胞内では阻害剤の結合、解離が試験管中に比べて早く、細胞内でタンパク質は適度に揺らいでいる事が、熱力学的に証明出来た。この結果は、細胞内でのバイオセンサー構築が、タンパク質の本来の揺らぎを細胞内でそのまま解析する有力なツールである事を実証している。本研究成果は、タンパク質の化学修飾法がそのエンジニアリング法として細胞内で有効である事を実証するとともに、ケミカルバイオロジー研究において、我々の開発したリガンド指向型化学が強力なツールとなることを実証するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内でのタンパク質化学修飾法を確立した。それと同時に、結晶構造解析による詳細な検討を行なう事が出来、細胞内でのそのままタンパク質工学へ応用展開出来た。これらの点で、当初の計画以上に進展していると考えている。 一方本来の目的である、化学修飾法を細胞内タンパク質同定に昇華する上で欠かせない多くの知見が得られたので、今後さらなる発展によって、標的タンパク質のさらなる拡張が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに、最近我々のグループで開発してきた細胞内在性蛋白質のラベル化に有効な「リガンド指向型化学」を応用して、多点反応性ラベル化剤を合成し、多点空間配置に有効な主鎖骨格のレパートリーを検討した。これらの末端には修飾可能な官能基が複数あり、このうちの1つに蛋白質リガンドを、その他をラベル化官能基を含む化合物で修飾したラベル化剤を作製する。さらに、標的蛋白質を細胞内・外で機能性分子修飾することで、抽出・同定を試みるとともに、さらなるラベル化剤骨格や条件の最適化を行う。同時に、質量分析等による蛋白質同定においてラベル化蛋白質を正確に同定するためには、なるべく効率の良いラベル化法である事が望まれる。また細胞内で蛋白質は発現・分解が制御されており、その観点からも迅速なラベル化法であることが望ましい。これらの点から、本研究では迅速かつ特異的に標的蛋白質をラベルする画期的な方法論となることが期待され、それに向けてさらなる新規反応の模索を続ける。
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Research Products
(10 results)