2012 Fiscal Year Annual Research Report
独自の合成方法論を基盤とするプローブ分子の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
24102525
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
菅 敏幸 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10221904)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 供給法の確立 / プローブ分子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、脳神経系に作用する化合物に焦点を絞りノビレチン(脳機能改善薬のリード化合物と期待),プレウロサイベルアジリジン(2004年に社会問題となった食中毒の原因物質であると予想し研究中)の全合成又は改良合成法をの確立とプローブ分子化を行った. ノビレチンは.ヒドロキシアセトフェノン誘導体にアシルドナーをアルキル化させて合成できるβ-ジケトンを経由する独自のフラボン合成法により効率的な合成法を確立した.さらに我々は,当研究室で見出したフラボン環の5位選択的な脱メチル化反応により得た化合物の水酸基へのリンカーのアルキル化反応とノシル基を用いた合成戦略による窒素原子の導入により,プローブ分子前駆体の合成を行った.今回合成した前駆体の末端アミノ基を足がかりとしてビオチン及び蛍光基の簡便な導入を行った.現在,HASタンパクの結合したノビレチン-キャリアタンパク質複合体の合成法の確立と,この免疫原により抗ノビレチンリコンビナント抗体の作製を進めている. プレウロサイベルアジリジンは,既に全合成を達成しているが,従来法では量的供給が全く追いつかず,活性試験に遅れが生じる可能性が出た.そこでまず,プレウロサイベルアジリジンの大量供給を再検討した.その結果,安価に合成可能なガーナーエステルに対するアルキル基とメチル基の導入を段階的に行う従来法に加え,精製法を大幅に改良することで,大量合成が容易となった.改良合成法を基盤として,プレウロサイベルアジリジにンリンカーを有するビオチンや蛍光 (Tokyo-Green)プローブユニットを合成に着手した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノビレチンのプローブ化は,大量供給法がすでに確立しており,プローブ化も当初の計画通り反応が進行し,目的物が得られている.現在,HASタンパクの結合したノビレチン-キャリアタンパク質複合体の合成法を検討中であり,予定通りに進展している. プレウロサイクロアジリジンのプローブ化は,今年度,大量供給法を確立した.現在,プローブ分子の合成も佳境に入っており,予定通りに進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後研究は,ノビレチン及び,プレウロサイクロアジリジンのプローブ化と生物活性試験を推進すると共に,強力なグルタミン酸受容体アゴニスト活性を有するメトキシフェニルカイニン酸 (MFPA)のプローブ化に着手する. グルタミン酸受容体の研究では,トリチウムのような放射性同位体(RI)でラベル化されたカイニン酸誘導体による競合アッセイによって,生物活性が評価されている。しかし、RIを使用したアッセイには専用の設備が必要とし、被爆の危険性もある.今後の研究により,蛍光プローブ分子の創製が実現出来れば,専用の設備なしで蛍光顕微鏡下に直接細胞を観察しながら,生物活性評価が可能となる. また、MFPAがカイニン酸を遥かに超えた活性を有していたため、MFPAに蛍光プローブユニットを付与した化合物にも有効な活性を有することが期待される.
|
Research Products
(19 results)