2012 Fiscal Year Annual Research Report
半田ビーズを利用した新規マクロライドの抗炎症作用の作用機序解明と創薬リードの創製
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
24102527
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
菅原 章公 北里大学, その他の研究科, 助教 (50581683)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / EM900 / エリスロマイシン / 抗炎症作用 / アフィニティ磁性微粒子 / 標的タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の背景」エリスロマイシンA (EMA)は、抗菌活性、モチリン様作用、抗炎症作用・免疫調節作用の3つの作用があることが知られている。近年、特にEMAの抗炎症作用・免疫調節作用が注目され、EMAの難治性慢性炎症疾患での治療効果が報告された。加えて、多くの研究者がその抗炎症作用の作用機序解明に取り組んできたが、その作用機序は不明確のままであった。その原因の一つとして、EMAが三つの作用を有しているために標的タンパク質の同定が複雑化し、困難だったと考察できる。しかしながら、作用機序が不明のまま、治療効果があるという事実のみで適用拡大していくことは21世紀の薬物治療としては適正とは云えず、その解明を急ぐべきである。その課題を解決する手段として、研究代表者は、2つの作用を完全に消失させ、抗炎症作用・免疫調節作用のみを発現したEMA誘導体を理想の天然物リガンドとして設定し、その結果、EMAから3工程を経て理想分子EM900を創製することに成功した。
「研究目的」以上のことを踏まえ、本研究では、抗炎症作用・免疫調節作用のみを有するEM900のアフィニティ磁性微粒子 (半田ビーズ)を利用した標的タンパク質の単離・同定とEMAの作用機序の解明、EM900標的タンパク質を利用した微生物資源から新規生理活性天然物の発見を目指す。
「研究成果」平成24年度の研究計画では、①EM900に半田ビーズを固定化させること、②標的タンパク質を同定させることを計画していた。この研究計画に則り、まず半田ビーズを固定化したEM900の合成に取り組んだ。その結果、EM900から7工程を経て4"位の水酸基に半田ビーズを固定化した所望の分子を合成した。この分子は100mgスケールで合成可能である。更にその分子を用い、細胞粗抽出液から候補となる標的タンパク質を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、抗炎症作用・免疫調節作用のみを有するEM900のアフィニティ磁性微粒子 (半田ビーズ)を利用した標的タンパク質の単離・同定とEMAの作用機序の解明、EM900標的タンパク質を利用した微生物資源から新規生理活性天然物の発見を目指す。 平成24年度の研究計画では、①EM900に半田ビーズを固定化させること、②標的タンパク質を同定させることを計画していた。この研究計画に則り、まず半田ビーズを固定化したEM900の合成に取り組んだ。その結果、EM900から7工程を経て4"位の水酸基に半田ビーズを固定化した所望の分子を合成した。この分子は100mgスケールで合成可能である。更にその分子を用い、細胞粗抽出液から候補となる標的タンパク質を見出した。しかしながら、この見出した標的タンパク質が、真の標的タンパク質かどうかは確認が取れておらず、今後の課題と考えている。 以上のことから、平成24年度の計画①は達成できたが、計画②についてやや遅れていると自己判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに半田ビーズを固定化したEM900を利用して、それに選択的に結合するタンパク質をスクリーニングし、その中から標的タンパク質の候補を見出した。しかしながら、この見出した標的タンパク質が、真の標的タンパク質かどうかは確認が取れていない。従って、今後の研究の方針として、まずEM900の標的タンパク質の同定を目指す。 次いで、標的タンパク質が見出された後、その標的タンパク質の分子レベルでの機能解析を行う。例えば、ノックアウトモデルなどを作成して、本当にEM900の有効な作用に標的タンパク質が関与しているかを調べていく。 標的タンパク質の発見、作用機序の解明を行った後、出来るだけ早い時期にEM900の標的タンパク質を固定化したアフィニティ磁性微粒子を用い、微生物資源から新規天然物の探索を実行する。北里が所有している稀少微生物培養液などの微生物資源を基盤としたライブラリーは、今日まで有用な生理活性天然物(エバーメクチン、スタウロスポリン、ラクタシスチンなど多数)を産出してきた実績がある。さらに、北里の所有している天然物誘導体ライブラリーは上記の天然物ライブラリーのケミカルスペースを補完し、新規活性物質の発見の確立を高めると云える。ここで見出された微量有用物質を大量培養、または有機合成等により大量に取得して、同定し、詳細に活性を評価する。また、得られた有用物質を出発に様々な誘導体を合成し、より有効な有用物質を創製する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Toward the total synthesis of Luminamicin: construction of 14-membered lactone framework possessing versatile enol ether moiety2012
Author(s)
Aoi Kimishima, Tomoyasu Hirose, Akihiro Sugawara, Takanori Matsumaru, Kaoru Nakamura, Ken Katsuyama, Masaki Toda, Hirokazu Takada, Rokuro Masuma, Satoshi Omura, , Toshiaki Sunazuka
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Journal Title
Tetrahedron Letters
Volume: 53
Pages: 2813-2816
DOI
Peer Reviewed
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