2012 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジー符号化された量子計算のためのコンパイラ
Publicly Offered Research
Project Area | Quantum cybernetics - interdisciplinary studies of quantum controls and developments toward quantum computing |
Project/Area Number |
24102708
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
Devitt Simon 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 特任助教 (90469601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子情報処理 / 量子誤り訂正 / トポロジカル量子コンピュータ / 回路最適化 / リソース評価 / 回路ベリファケーション / 古典制御 / 大規模コンピュータ・アーキテクチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で主に2つの研究成果が出ている。 1)トポロジカル量子計算のモデルで、量子ビットを表すディーフェクトをブリッジする手法が量子回路として有効であることを発見した。また、このブリッジンングの方法は、量子回路全体のサイズをより小さくするために非常に有用な手法であることがわかった。この方法を用いて、量子計算に必要となる量子ビットの数を、与えられた回路をトポロジカル量子計算で表現して得られる当初の見積もりより一桁減らすことに成功した。この研究成果を量子アルゴリズムの詳細なリソース解析へ応用し、隠れたリソースを残さない、詳細なリソース解析を行った。このような解析はこれまでになく、初めてのものである。
(2)トポロジカル量子回路が正しく表せているかを確認するベリファケーショ ンの方法を考察し、計算機で自動的に解析できるようなパッケージを開発した。最適化の過程により量子回路が最初に与えられた回路とは似つかないような回路となることはよくおこることである。このように最適化の過程を経た量子回路はベリファケーションによって回路が正しく元の回路を表現しているかを確認する必要がある。 我々が開発したベリファケーションの方法は量子回路をシミュレーションすることができ、すでに大きな量子回路までテストすることができるまでに改善することができた。
これらの結果はすでに発表済みか発表の予定がある。大規模の量子コンピュータにはこのようなソフトウエアに関連する研究が不可欠で、本研究は情報科学を含む研究努力へと拡張できてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時点では、トポロジカル量子コンピュータはその基礎的なことしかわかっていなかったが、今回の研究により理解が大きく前進した。アルゴリズムをトポロジカル量子コンピュータへ実装する方法はほとんど研究されていなかったため、その上での最適化については全くわかっていなかった。今回の研究から、まず大規模な量子コンピュータの構築にあたっては、物理的な量子デバイスの最適化は重要でなく、アルゴリズム的な最適化が重要であることがわかった。これは、これまでの常識に反する結果で量子コンピュータの実現上重要である。 また、我々の最適化の方法はここに大きく貢献できることが予想される。次年度はこの研究成果をさらに発展させる予定である。特に最適化と検証の過程を自動で行うことを可能にすることは、トポロジカル量子コンピュータのパフォーマンス をさらに向上することに繋がると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、トポロジカル量子計算モデルを用いてアルゴリズムの最適化の研究を引き続き行う。主に次の3つの点が重要である。 1)最近開発された状態精製プロトコルは従来のものと比較して有利な点があることがわかっているので、これをトポロジカル量子計算モデルへ応用する。 2)トポロジカル量子回路の自動化では、サブルーティンなどの大きな量子回路を構成、最適化するための条件付き最適化を扱う。 3)トポロジカル量子回路のベリフィケーションの拡張。今年度開発したベリフィケーション・パッケージを引き続き開発し、手動、自動の双方で検証できるように拡張する。
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