2012 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ガス惑星と原始惑星系円盤の共進化:インナーホール形成モデル
Publicly Offered Research
Project Area | New Frontiers of Extrasolar Planets: Exploring Terrestrial Planets |
Project/Area Number |
24103503
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
谷川 享行 北海道大学, 低温科学研究所, 研究員 (30422554)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 惑星の起源、進化 / 原始惑星系円盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤全体の進化(約1000万年、約100AU) をする中で、ギャップ領域での惑星と原始惑星系円盤との相互作用(10-100万年)、円盤ガスの惑星への降着(1-100年、約100AU)という、空間・時間的にマルチスケールな複数の現象を同時に取り扱う必要があるため、単純に数値流体シミュレーションで解像度を高める方向での解決は不可能である。そこで、以下の要素を物理的に矛盾ないようにモデル化を行う。 (a) 原始惑星系円盤の動径方向1次元粘性円盤モデル (b) 惑星と原始惑星系円盤の重力相互作用 (c) 円盤ガスの惑星への降着 (d) レイリー条件(圧力勾配が強いところで起きる安定性条件)を考慮した円盤面密度構造 これらの要素のうち、(c) と(d) に関しては、申請者の研究により重要性が指摘されている要素であり、1 次元粘性円盤モデルに組み込まれるのは、本研究が始めてである。このモデルを用いて、巨大ガス惑星の質量・軌道長半径の進化と、原始惑星系円盤の面密度進化を同時に求め、巨大ガス惑星が存在するときのインナーホールの半径・面密度がどのように決まるか、また惑星質量の依存性などを調べる。 H24年度においては、まず、上記(a)(b)(d)を考慮して定常状態における面密度分布を調べることに重点的に行った。特に、本研究により試みている1次元軸対称近似モデルと2次元数値流体計算において、面密度分布の比較を詳細に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、H24年度においてはまず、上記(a)(b)(d)を考慮して定常状態における面密度分布を調べることに重点的に行った。特に、本研究により試みている1次元軸対称近似モデルと2次元数値流体計算において、面密度分布の比較を詳細に行った。その過程において、これまで広く用いられてきた惑星と原始惑星系円盤ガスの重力相互作用を1次元モデルに組み込む方法に改善すべき点が見つかり、それに対処するのに想定以上の時間を費やした。 具体的には、原始惑星系円盤中に大きな惑星が存在する際に円盤の面密度が大きく変化するが、その面密度勾配による動径方向圧力により、動径方向の圧力バランスに変化が生じ、結果的に回転速度が変化し、その速度勾配が変化することによって粘性トルクが変化する、という点である。この問題はこれまで誰も試みられていなかったため、このモデル化を新たに行うのに想定していた以上の時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べた点については概ね解決の目処が立ったため、従来の研究計画に従って研究を推進する。ただし、同時に、より直接的な手法を平行して行うことを検討している。これまで、円盤中の動径方向1次元での進化を求めるために、力学的な釣り合いが成り立っている状態を仮定していたが、力学的な釣り合いが必ずしも成り立っていなくても解くことが可能となるように修正する。具体的には、圧縮性流体計算の手法を取り入れて動径方向への運動方程式も陽に解く。これにより、数値計算にかかる時間は増加するものの、動径方向の力の釣り合いという仮定を課す必要がなくなるため、より自然な解が求まることが期待される。この方法により求まる円盤面密度構造と、これまでの計画通りの手法で求まる円盤面密度構造を比較して、両者のモデルのクロスチェックを行う。そのチェックの後に、原始惑星系円盤と惑星の共進化を調べる。
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