2012 Fiscal Year Annual Research Report
多重線形代数を基盤とする多次元データ統計解析と計算解剖学への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Computational anatomy for computer-aided diagnosis and therapy :Frontiers of medical image sciences |
Project/Area Number |
24103710
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | パターン認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
医用画像は、一般の画像と異なって空間的に3次元情報を持ち、さらにX線やMR, PETなど異なるモダリティ情報を持つ。このような膨大な多次元データからいかに重要な情報(コアとなる情報)を見つけることは、計算解剖学において重要な課題である。本研究プロジェクトは、重線形理論の枠組で多次元データを一つのテンソルとして効率よく記述及び処理する手法の開発と医用画像解析への応用を目的とする。 初年度の平成24年度においては、先行研究で開発した一般化N次元主成分分析(GND-PCA)を基盤に、新たに線形テンソル符号化法(Linear Tensor Coding: LTC)を開発した。開発したLTCにおいて、まず入力テンソルからGND-PCAでランク1テンソル基底(第1基底)を求め、次に残差テンソル(入力テンソルと再構成テンソルとの差)から第2、第3、などの基底を階層的に求めていく。残差テンソルのノルムがある閾値r(近似精度を表すパラメータ)より小さくなるまで高次の基底を求めていく。入力テンソルは、テンソル基底の線形結合で表される。 先行研究のGND-PCAに比べ、LTCは以下のような二つの特徴をもつ。 特徴1:学習サンプル(入力テンソル)から求められた第1基底は、入力群の最も分散の大きい成分(低周波成分)を表しており、第2基底以降は、残差テンソル(入力テンソルと再構成テンソルとの差)から求められているので、入力テンソルの特徴的なパターン(高周波成分)を表しており、特定な意味・効果を表している。基底の係数はそれらの特定効果の尺度として用いることができる.病気の特定や診断支援が期待できる。 特徴2: 基底の数は近似精度を表すパラメータrで自動的に決まる。 本研究成果は、国際学会(国際学会発表2)で発表した。現在学術誌に投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、1年目にTCの理論開発を行い、2年目に開発したLTCを医用画像解析に適用する。初年度において、計画通りにLTCを理論的に開発し、その有効性を示して来た。2年目の平成25年度は、LTCを医用画像解析に適用し、その有効性を検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の昨年度は、線形テンソル符号化法(Linear Tensor Coding: LTC)を理論的に開発した。今後、開発した手法の有効性の検証と臓器テキスチャのモデリングに適用して行く予定である。詳細な研究実施計画を以下に示す。 1.【LTCの有効性の検証】医用画像やハイパスペクトル画像に適用し、先行研究で開発したGND-PCAとの比較実験を行い、本提案法の有効性を検証していく。 2.【医用ボリュームデータの統計ボリュームモデリング法】統計ボリュームモデリングは、ボリュームの形状とテクスチャ(濃淡分布)を分けてそれぞれ統計モデルを求める手法である。統計形状モデルはこれまで開発してきた。本研究では、統計テキスチャモデルに焦点を絞る。臓器のボリュームデータをそのまま3次のテンソルとして用いるが、形状のバリエーションを除去するために、FFD (Free Form Deformation)モデルを用いた変形を考慮形状正規化(変形位置合わせ法)を行う。平均形状に正規化されたボリュームデータ(3次テンソル)に対して項目①で開発したLTC法を用いてテクスチャ(濃淡分布)のバリエーションを記述できる固有空間(統計テクスチャモデル)を求める。 3.【局所特徴量の融合と選択】医用画像から肝疾患を識別するには、テキスチャ(濃度値分布)局所特徴量も非常に重要である。本研究では、近年提案された局所的なSIFT[Lowe, 2004]特徴を一つのテンソルとして取り扱い、統一的に記述・融合する手法を提案する。我々が開発したLTCを用いることにより、膨大なSIFT特徴量からコアとなる有効な特徴が選択できる。肝疾患の分類に応用する。
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Research Products
(21 results)