2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉場を有する不斉有機分子触媒ライブラリーの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
24105502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 正道 北海道大学, 触媒化学研究センター, 准教授 (70301231)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 面不斉 / 有機触媒 / フェロセン / ピリジン / 共役ジエン / 軸不斉 / アトロプ異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1990年代にGregory C. Fuにより開発されたフェロセンが縮環したジアルキルアミノピリジン誘導体Fc*-DMAP, Fc*-PPYは、特徴的な面不斉構造にもとづくユニークな求核性有機分子触媒であり、優れたエナンチオ選択性を示す。Fc*-DMAPは多くの不斉反応に対して有効であるが、その合成は煩雑であり、また合成の最終段階で「ラセミ体として得られるFc*-DMAP, Fc*-PPYのキラルHPLCによる光学分割」が必要である。そのため大量供給が困難であり、その実践的な応用を阻んで来た。本研究では、Fc*-DMAP, Fc*-PPYおよび新規類縁体を「光学分割すること無しにエナンチオ選択的に不斉合成する手法」の開発をおこなった。我々の戦略は、フェロセン母核の1, 2位にその面不斉を制御しながら適切な置換基を導入した後、閉環メタセシス反応によりフェロセンに縮環したピリジン部位を構築するものであり、新規誘導体を含む種々の面不斉フェロエン縮環ピリジン類が光学的に純粋に得られた。 共役ジエンのC2-C3間の炭素-炭素単結合における回転を制限すると、多置換ビアリール類と同様にアトロプ異性体が生じる。しかし、共役ジエン系の炭素-炭素単結合の回転障壁は通常それほど大きくないため、アトロプ・エナンチオマー間でのラセミ化が容易に進行する。そのため、アトロプ・ジエンを不斉反応場として利用した例はほとんど報告されていなかった。我々は、環構造を持つ骨格に2つの隣接するexo-アリキリデン基として共役ジエンを導入すれば、配座の自由度が制限され、その結果ジエンのアトロプ異性に基づく螺旋不斉化合物が熱的に安定なエナンチオマーとして単離可能なことを見出した。この知見に基づき、螺旋不斉共役ジエン骨格を有する種々のホスフィン誘導体を合成し、それらが不斉有機触媒として優れた機能を有することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
面不斉フェロコピリジン類の不斉全合成をすでに達成しており、また今までにない骨格を有する軸不斉ホスフィンオキシドの合成を達成しそれらが非常に優れた有機触媒作用を示す事をすでに見出している。一年間の研究成果としては、非常に内容が濃いと自負している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、軸不斉ジエン類のキラルテンプレートとしての可能性を探索すると同時に、面不斉フェロセンをテンプレートとする有機触媒ライブラリーの構築を目指す。
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Research Products
(3 results)