2012 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系分子を活用する有機レドックス触媒システム
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
24105519
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レドックス / π共役系分子 / ポリアニリン / キノンジイミン / 金ナノ粒子 / 酸素酸化 / 環境調和 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機合成においてレドックス反応は重要である。本研究では、π共役系高分子ポリアニリンのレドックス機能を活用した有機レドックス触媒の開発を目指している。今年度は、ポリアニリンのレドックスを担う単位構造であるキノンジイミンによる有機マグネシウムの酸化的カップリングと水溶性ポリアニリンと金ナノ粒子からなる環境調和型触媒システムに基づく酸素酸化反応の2つの反応システムの開発に取り組んだ。 ベンゾキノン-1,4-ジイミン化合物を用いてアリールおよびビニルマグネシウムと反応させたところ、高収率で対応する酸化的ホモカップリング体が得られた。その際、懸念される有機マグネシウムがキノンジイミン化合物に付加した副生成物は見られなかった。クロラニルや2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノンなどの汎用的な有機酸化剤を用いた際は、上記の酸化的ホモカップリング反応は低収率であった。このことから、キノンジイミン化合物の本反応における有用性が示された。 ポリアニリンと金ナノ粒子を組み合わせることで、ポリアニリンがレドックスメディエーターとして機能する触媒システムが構築できるのではないかと考えた。具体的には、水溶性のポリアニリンであるポリ(2-メトキシアニリン-5-スルホン酸)(PMAS)と金ナノ粒子のハイブリッドによる、分子状酸素を末端酸化剤とする環状2級アミンの脱水素酸化反応および環状3級アミンの脱水素型炭素-炭素結合形成反応の開発に取り組んだ。その結果、水溶液中で環状2級アミンの脱水素酸化反応が効率的に進行することが明らかになった。また、環状3級アミンの脱水素型炭素-炭素結合形成反応では、水溶液中で反応を行なっているにも関わらず、水が付加した副生成物を抑制し、目的のカップリング体を選択的に得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、キノンジイミンによる有機マグネシウムの酸化的カップリングと水溶性ポリアニリンと金ナノ粒子からなる環境調和型触媒システムに基づく酸素酸化反応の2つの反応システムの開発に取り組み、両者とも順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
キノンジイミンによる有機マグネシウムの酸化的カップリング反応では、触媒化に取り組む。有機触媒と金属のハイブリッド化による環境調和型反応システム開発も引き続き展開する。
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