2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規不斉有機触媒の創製と創薬を指向したHDAC阻害活性天然物の実践的合成
Publicly Offered Research
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
24105526
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 範 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20143000)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機触媒 / 不斉反応 / シンコナアルカロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
β-イソクプレイジン(β-ICD)はキニジンから容易に得られるものの、そのエナンチオマーの合成は困難であり、反応生成物の両エナンチオマーの獲得という点に大きな欠点があった。本研究は、これまで開発されて来たβ-ICDを触媒とする不斉反応を実用的な反応として確立すべく、β-ICDと相補的な関係にある新たな有機触媒を開発することを目的としている。また、その触媒反応を駆使する実践的な応用展開として、新たな抗癌剤開発のリードとして期待されるヒストン脱アセチル化酵素阻害活性天然物burkholdac A等の天然物の全合成を行い、その効率的合成法を確立することも目的としている。24年度の研究においては、キニーネと超強酸であるトリフルオロメタンスルホン酸との反応を詳細に検討した。その結果、室温ではポリプロトン化されたキニーネの骨格転位が進行しα-イソキニーネのみが得られ、加温すると脱メチル化がさらに進行しα-イソクプレインが高収率で得られることを見出した。そのX線結晶構造解析とNOESYスペクトルに基づく構造解析より、環状エーテルを含む堅固なかご形構造に加え、フェノール性水酸基とキヌクリジン窒素がお互いに向き合ったβ-ICDとエナンチオメリックな関係にある構造的特徴を持つことを明らかにすることができた。続いて、その触媒活性を森田-Baylis-Hillman反応を指標に調べた。その結果、p-ニトロベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、β-ナフチルアルデヒド、桂皮アルデヒドのいずれにおいても、中程度から良好な収率で87% eeから90% eeのS体が生成することを見出した。このことより、α-イソクプレインはR体の生成に導くβ-ICDに対してエナンチオ相補的な触媒として機能することを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標に設定したβ-イソクプレイジンと相補的な関係にある新たな有機触媒の開発については、最終年度を前に既にα-イソクプレインを見出し、キニーネからの効率的な1段階合成法も確立できた。さらに、このものを有機触媒とする不斉森田-Baylis-Hillman反応を詳細に検討し、α-イソクプレインがβ-イソクプレイジンと反対のエナンチオ選択性を示すことを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、研究計画の変更は特にない。前年度で開発したα-イソクプレインを触媒として用い、アザ森田-Baylis-Hillman反応等の他の不斉反応への適用性を調べる。また、α-イソクプレインの誘導体化による他の触媒の合成も検討する。一方、開発した有機触媒反応を活用し、生物活性天然物の合成を行い、その有機合成化学的有用性を示す計画である。
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Research Products
(11 results)