2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハドロン間相互作用とハドロン共鳴の分子的構造の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
24105702
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
兵藤 哲雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (60539823)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ハドロン分光学 / 重いクォーク / 普遍的物理 |
Research Abstract |
今年度は、ハドロンの分子的構造について、特に重いクォークのセクターおよびパイ中間子のみのセクターに注目して以下の研究を行った。 マルチハドロンのヘビークォーク対称性:ヘビークォークを1つ含むハドロンは、ヘビークォーク極限でスピン縮退を示すことが対称性の議論から知られている。本課題では、ハドロン分子状態や媒質中のハドロンなど複雑な内部構造をもつヘビーハドロン系もスピン縮退を示し、従来brown muckと呼ばれる軽いクォーク成分が豊かな構造を持ちうることを指摘した。この結果はヘビーハドロン分光の体系的理解に有用な視点を与えるのみならず、同じ多重項の粒子の生成や崩壊の性質の解明に役立つ。 パイ中間子3体系における普遍的物理:2体の散乱長が相互作用の到達距離より十分大きな系では、エフィモフ効果に代表される少数系の普遍的物理が現れることが知られており、冷却原子系での実験技術の進展などに刺激され近年精力的に研究されている。本課題では、軽いクォーク質量が仮想的に大きい領域でアイソスカラーチャンネルのパイオン散乱長が発散する点があることを利用し、パイ中間子3体系において普遍的物理が実現することを示した。アイソスピン対称性が厳密な場合は、束縛エネルギーが2パイオン束縛状態のものに比例するような単一の3体束縛状態が存在し、アイソスピン対称性の破れがある場合は、エフィモフ効果が起こり散乱長が発散する極限で無限個の3体束縛状態が存在する。これらの現象はクォーク質量を適切に調節した格子QCDで実現可能であり、また普遍的3体束縛状態の存在は核媒質中での対称性の回復に伴う多重パイ中間子チャンネルのソフト化に影響を与えることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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