2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハドロン励起状態の性質と構造における有効自由度の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
24105706
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
慈道 大介 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (30402811)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 理論核物理 / ハドロン分子状態 / エキゾチックハドロン / 共鳴状態の複合性 / ダイクォーク / 重いクォークを含むハドロン / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハドロン励起状態における有効自由度を検討し、多彩なハドロンを構造によって再分類する基盤を整備することを目的としている。 今年度は、励起ハドロンにおける基底ハドロンの役割を明らかにするため、励起ハドロンの複合性を定量化する方法の開発を行った。励起状態の複合性は、励起状態が短寿命であるために定義自体概念的に難しい問題を含んでいるが、特定の模型を仮定した上での議論は完成しつつある。また、ハドロン自由度で記述する模型をより精密にするため、カイラルユニタリー模型を用いて、Λ(1405)生成反応におけるΣ(1385)の寄与を見積もり、実験で観測される質量スペクトルを予想した。J-PARCで行われる実験的研究へ貢献をするとともに、実験データが出たときには、結果を直接比較することで、有効模型の正しさを検証することができる。 もう一点、今年度行ったことは、ハドロンに対するダイクォークの重要性を明らかにするために、重いクォークを含むバリオンの質量スペクトルの研究をしたことである。理論的実験的現状の情報収集を行うため、組織委員の一人として重いクォークを含むハドロンについて集中的に議論をする研究会を組織した。その研究会には、本科研費を用いて共同研究者であるKim氏を招聘し、QCD和則を用いて、ハドロン中のダイクォーク相関の重要性を明らかにする研究を進めた。この Kim 氏との研究は、重いクォークとダイクォーク間の励起による共鳴状態を調べることにあり、特に負のパリティーを持つ励起状態がこのダイクォーク描像で再現ができるかどうかを確認する目的がある。このような研究を含めた一連の研究成果は、福岡で8月に行われた国際会議で招待講演として発表を行ったほか、日本物理学会の秋季大会などで成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はおおむね順調に進展をしているが、今年度新しく着手したいくつかの研究について、学会等の口頭発表をして研究者との研究交流の材料となるまでの進展はあったが、論文を執筆できるような段階まで進んでいないのは残念である。今後、これらの研究成果を論文として発表をしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本新学術領域では、11月に国際会議を企画している。その場を最大限に活用をして、研究成果を発表するとともに、最新の理論的実験的成果の収集に務めたいと思っている。
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