2012 Fiscal Year Annual Research Report
π中間子原子分光実験の展開
Publicly Offered Research
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
24105712
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
板橋 健太 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 専任研究員 (30322093)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | パイ中間子原子 / 精密分光実験 |
Research Abstract |
π中間子原子の精密分光研究を展開するための実績は主に以下の3点からなる。 (1)パイ中間子原子の分光実験の高精度・系統的な研究を展開するための実験に向けた準備を行った。分光実験のためのスペクトロメータとなる理研RIBF施設のBigRIPSの光学系について詳細な計測と開発を行った。BigRIPS を分光スペクトロメータとして利用する際、高次の光学収差によって分解能が悪化する事が知られている。そこで酸素18ビームを用いた、実地の光学収差計測を行い、分解能に影響を与える収差の量を測定し、補正に必要となるパラメータを収集した。分解能に影響を与える入射ビームのエミッタンスや、エネルギー巾を計測し、改善するための設定などを策定した。 (2)データの解析。昨年度までに得られたπ中間子原子分光実験のデータを解析した。上記の光学収差補正などを適用するなどして、スペクトルのより詳細な解析を行った。同時に理論と共同で研究を行う事で、強い相互作用を精度良く決定するために、計測するべきスペクトルを検討した。 (3)上記の検討に基づき、次期分光実験の準備を進めた。検出器の開発・テストを行い、より高精度・高統計の実験準備を行った。 研究を展開する上での懸念される点は、以下の通りである。震災以降、電力料金の値上がりのためもあって実験を行う施設RIビームファクトリーの稼働時間は大きく短縮されている。そのため、本研究を遂行するためのビームタイムも延期が繰り返されており、ようやく2014年前半に一週間のビームタイムが確定した。 現在国内の大型加速器施設は、多くが同じ問題を抱えており、検出器のテストさえ外国で行う方が簡単な状況にある。これでは学生の育成を含めた、研究分野の進展を期待するのが難しく、大変忸怩たる思いである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電力料金の値上がりのためもあって実験を行うための施設RIビームファクトリーの稼働時間は、本来より大きく縮減されている。そのため施設側の都合で、本研究を遂行するためのビームタイムも延期されているが、ようやく2014年前半の実験実施が確定した。研究全体としては戦略的な展開を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験実施が確定しているため、この準備を実施する。データの解析を行う。
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