2012 Fiscal Year Annual Research Report
三次元組織光造形法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper Bio Assembler for 3D Celluler Innovation |
Project/Area Number |
24106512
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
杉浦 慎治 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (10399496)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 組織工学 / ゲル / 細胞 / 三次元構造 / 再生医療 / 微細加工 / 培養 / 細胞アッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
H24年度は基礎的検討として、価数の異なる光分解性架橋剤の合成や、架橋密度や化学組成の異なる光分解性ゲルの合成を行い、応用研究としてゲルの微細構造の加工、三次元培養系における細胞操作、およびゲルの粘弾性パターンニングに関する検討を行った。これらの中で、本報告書では、ゲルの微細構造の加工と三次元培養系における細胞操作に焦点を絞って報告する。 1. ゲルの微細構造の加工 2.5mM gelatin溶液および5mM amino-4arm PEG溶液より合成した光分解性ゲルのXY平面分解能は、直径20 μmまで平面高分解能を有することが明らかとなった。また5mM amino-4arm PEG溶液より合成した光分解性ゲルのZ軸分解能について同様の検討を行った結果、光照射強度に応じてゲル内部150μm(膨潤後271μm)まで分解可能なことが明らかとなった。以上の検討結果より、今回作成した光分解性ゲルは、将来的に細胞の時空的制御を行う上で有用な新規マテリアルである可能性が示唆された。 2. 三次元培養系における細胞操作 細胞を一定数混合した状態でゲル作成条件を変化させてLIVE/DEAD染色を行った。今回検討した条件の中で1.25%gelatin溶液を用いたゲル中の細胞生存率は、NHS/NH2 = 42.7-128 mol%において74~92%であり低毒性であることを確認した。この条件で光照射による細胞摘出を行った。また、摘出細胞が生存し、細胞分裂が可能か検討するために摘出細胞を新しいディッシュに移動して培養を行った。使用する細胞は赤色蛍光細胞と無蛍光細胞の2種類を混合して用い、ターゲット細胞は赤色蛍光細胞として細胞を摘出した。その結果、光照射領域に限定した細胞摘出が可能であり、摘出した細胞の培養が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の年次計画では、H24年度は、1) 光分解性架橋剤の合成、2) 三次元組織光造形法の基本原理の実証、3) マイクロ流路チップの加工、4) マイクロ流路チップ上での三次元組織の構築(前半部分)、を予定していた。1)から3)については予定通り順調に進捗し、これらの結果に基づいて論文を2本投稿し、1本の論文を投稿準備中である。4)についても検討を開始しており、検討すべき内容の前半部分の検討は見通しが立っている。また、新学術領域の特徴として、班内および班間連携が求められるが、H24年度の研究をとおして新たな共同研究を2件スタートし、共同研究の準備を進めている案件が2件ある。これらの共同研究は当初計画されていなかった研究であるが、新学術領域で領域会議を重ねる中で新しく芽生えてきた研究である。コレラの共同研究のうち1件は論文投稿準備を進めている段階である。成果発表に関しては論文を2本投稿し、さらに投稿準備中の論文が2本ある。投稿された論文は未だ受理されていないが、1年目の達成度としては概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、申請時の研究計画に従って4) マイクロ流路チップ上での三次元組織の構築(後半部分)、5) 設計パラメーターと肝機能の相関の検証、6) 異なる手法で構築した三次元組織との比較、を進めていく。また、H24年度の研究をとおしてスタートした共同研究として、7) 三次元培養系における細胞操作、8) マイクロスケールでのゲルの粘弾性制御、を進めていく。一方、H24年度の検討を受けてゲルに細胞を内包化する際のゲルの作製条件によっては細胞毒性があることが確認されており、4)、5)、6) については 当初計画していた方法と異なる方法でのアプローチも検討していく。具体的にはゲルを調製する際に細胞を内包化するのではなく、ゲルで三次元構造体を加工した後に細胞を播種する手法の検討も進めていく。
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