2012 Fiscal Year Annual Research Report
フロー系を用いる骨格形成反応の開発と有機合成の効率化
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106703
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土井 隆行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212076)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フロー合成 / マイクロリアクター / フラボン |
Outline of Annual Research Achievements |
Spiruchostatin A およびlargazoleはヒストン脱アセチル化酵素阻害活性をもつ天然物であり,我々はその構造活性相関に注目して類縁体合成を行っている.本研究ではこれらの共通部位となる光学活性なヒドロキシカルボン酸について,フロー合成を活用した空間的集積化により効率よくかつスケールアップが容易な原料合成法を開発研究している.その一つとして,不飽和エステルの不飽和アルデヒドへの部分還元について検討した.一般に,α,β-不飽和エステルのアルデヒドへの部分還元は,不飽和エステルの反応性が低いために対応する飽和エステルの部分還元よりも制御が難しいことが知られている.そこで,時空間を制御可能なフロー式反応装置を設計し,望むアルデヒドを選択的に与える条件について精査した. 不飽和エステルとDIBALを-78 ℃の条件下それぞれ流速1 mL/minで混合し、還元反応を試みたところ、望むアルデヒドの選択性は57%と低かった。一方,流速を9 mL/minへ上げたところ滞留時間1 sで反応は完結し、選択性の向上が認められた。さらに低温の-97 ℃で反応を行ったところ、目的のアルデヒドを高い選択性(94%)で得ることに成功した。本条件を用いてspiruchostatin の合成中間体を収率86%、選択性91%で得た。これはバッチ法を用いた二段階反応(DIBAL; MnO2)による収率64%を上回った。フロー法はそのままの条件でフローする時間を延ばすことでスケールアップが可能であり,従来法(バッチ式)に比べ短工程かつ高収率で望む不飽和アルデヒドを合成できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α,βー不飽和エステルを一段階でエナールに還元することは難しく、これまで二段階法が取られてきていた。本手法では一段階で効率よくエナールが得られること、同一条件でのスケールアップが可能であることから、有機合成上有用な段階まで効率化することができたので当初の目的を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
他の反応にも拡大して、様々な有機合成反応をマイクロフロー合成できるように精査する。まずは反応条件の制御が立体選択性に大きな影響を及ぼすアニオン反応である不斉アルドール反応に挑戦したい.
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