2012 Fiscal Year Annual Research Report
反応集積化を活用したトリアゾール類の新しい分子変換反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106718
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 智也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10378804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
入手容易な炭化水素から多官能性の有機化合物を合成するには,一般に多段階を要する。したがって,様々な官能基を一挙に炭化水素分子に導入することができれば,ステップエコノミーに優れた効率的な合成手法になる。最近,筆者らのグループとFokin(米国)らのグループが,トリアゾールの環鎖互変異性によりわずかに生じるα-ジアゾイミンを起点とした遷移金属カルベン種の生成とそれを利用した触媒反応をそれぞれ独立して見出し,トリアゾールが反応基質として高い潜在性をもつことを示した。例えば,筆者らは末端アルキンから容易に合成可能な1-スルホニル-1,2,3-トリアゾールにロジウム触媒の存在下で水を作用させると,α-アミノケトンが生成することを報告した。本反応は形式的ではあるが,アミノ基とヒドロキシル基を位置選択的に末端アルキンへ導入することになる。今回,水にかえてアリルアルコールを作用させることで,α-アミノケトンのα位にさらにアリル基を導入することに成功した。また,銅触媒を用いる末端アルキンからのトリアゾールの合成とロジウム触媒反応をワンポットで行えることも見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、含窒素化合物の新合成手法の開発を目指し、「同一時間的反応集積化」に焦点をあて、以下の三つの柱を中心に研究を推進する予定であった。 1.トリアゾールの脱窒素アレン挿入反応による三置換ピロールの位置選択的合成 2.トリアゾールの脱窒素水和反応を鍵とするα-アミノケトンのワンポット合成 3.トリアゾールを起点とするTiffeneau-Demjanov型脱窒素環拡大反応の開発 いずれの課題も終え、現在、1番目は論文を投稿中で、2番目と3番目は、論文にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究を活かし、以下の研究を新たに行う。 1.トリアゾールの脱窒素過程により生成するα-イミノロジウムカルベン種とアリルフェニルスルフィドとのDoyle-Kirmse転位を鍵過程とする4級不斉炭素構築法の開発 2.トリアゾールの脱窒素過程により生成するα-イミノロジウムカルベン種とカルボン酸との分子間付加反応を鍵過程とするアミノ機が置換したエノールエステルの立体選択的合成 3.トリアゾールの脱窒素過程により生成するα-イミノロジウムカルベン種とシラノールとの分子間付加反応を鍵過程とするアミノ基が置換したシリルエノールエーテルの立体選択的合成
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