2012 Fiscal Year Annual Research Report
マルチタスク触媒を用いる集積反応の開発と生理活性物質の合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106719
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10302168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 集積反応 / 多成分反応 / 生理活性テルペン / 酸触媒 / マルチタスク触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、ブレンステッド酸であるトリフリックイミドは種々の化学変換を活性化しうる触媒であることを明らかにしている。同一の反応空間において、ひとつの触媒が反応機構の異なる複数の反応を活性化して連続的分子変換できる触媒をマルチタスク触媒と呼び、我々はその概念に基づいた反応集積化を精力的に検討してきた。 24年度はDiels-Alder反応―異性化―(2+2)環化付加という多成分連結連続反応を時間集積、空間集積、時空間集積法により検討し、パエスレリンAの真の構造の合成の検討を行った。 触媒量のTf2NH存在下でエノンとジエンとアクリル酸メチルの集積反応を行った結果、目的の三環性化合物が収率35%で得られた。マイクロリアクターを用いて本反応の空間集積化の検討を鋭意行っているが、現在のところ最初のDiels-Alder反応の収率向上が困難であり総収率の改善は達成できていない。 多成分反応で得られた化合物を中間体としてパエスレリンAを合成する場合、シクロヘキサン環の置換基導入が大きな課題となる。その際、5員環カルボニル基、6-4員環の核間位の第三級水酸基およびカルボキシル基を足掛かりとした官能基変換を計画した。遷移金属触媒を用いるC-H活性化法やラジカル反応を用いる官能基化を試みたが、目的の酸化体に変換することは困難を極めている。最近になって、Du Boisによるカーバマートをdirecting groupとするRh触媒C-H官能基化により官能基化に成功した。現在、これをもとにパエスレリンAの合成を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたパエスレリンAの合成において、多成分反応の改善とシクロヘキサン環の官能基化という2つの大きな課題があった。前者については鋭意検討をしているが、まだ解決策はみつかっていないため、当初の予定より遅れている。一方で触媒的CH活性化という魅力的な方法で官能基化できたことは、大きな成果である。 また、昨年度行ったキラル含窒素複素環の時間集積合成で得られる化合物の誘導体に、抗精神作用が認められることが明らかになった。当初の計画にはなかったものの、特許化の優先度が高いと判断し、複素環の合成も並行して行った。その結果、国内特許出願に至った。これは、当初の予定を超える成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
カーバメート成績体を中間体としてpaesslerin Aの推定構造の合成を急ぐ。また、マイクロリアクターを利用する空間集積型反応集積化を行い、このような多成分反応に空間集積法が威力を発揮することを実証したい。 また、その他の集積反応の予備検討もはじめており、それらを利用した生理活性天然物の合成を目指す。
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Research Products
(13 results)