2012 Fiscal Year Annual Research Report
テトラチアフルバレンの集積型周辺修飾による拡張π共役系分子の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106721
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依光 英樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00372566)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 時空間反応集積化 / パラジウム / π共役系 / テトラチアフルバレン / ポルフィリン / 光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性π共役系母核周辺部に芳香環をはじめとする別のπ共役系ユニットを密集配置すれば、優れた機能・特性を有する斬新なπ共役系分子の創出に繋がる。本申請の研究ではテトラチアフルバレン(TTF)類の集積合成、具体的には同一時空間反応集積化に基づく複数の炭素―炭素結合の直接的一挙生成について検討した。今年度は特に反応の位置選択性の制御について研究を行った。また、TTF以外にポルフィリンの集積化も目指し、ポルフィリン三量体のサイズ選択的同一時空間集積合成も検討した。 市販のTTFからTIPS-TTFを創製し、これを用いた低対称TTFの選択的合成法を開発した。また、二つずつ異なるアリール基が導入された低対称テトラアリールTTFのライブラリの中から、興味深い酸化還元挙動を示す分子を発見した。本成果は国際的に評価の高い雑誌であるChemistry -A European Journalに掲載された。 ポルフィリン多量体は光合成反応中心のモデル分子、非線形光学材料、有機導電性材料として盛んに研究が行われている。我々は、ポルフィリン多量体の新たな合成法として、同一時空間集積化に基づく2,18-ジエチニルポルフィリンのパラジウム触媒による酸化的にカップリングを検討した。これまでに過剰の酢酸銅を用いたエリントンカップリングによる二量化が知られていたが、今回パラジウム触媒を用いたところ、驚くべきことに三量体が高選択的に生成した。三量体は光合成中心のモデル分子として興味深く、大きな注目を集める研究となった。本成果は国際的に評価の極めて高い雑誌であるAngewandte Chemie International Editionに掲載され、さらには当該号の中表紙を飾ることになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
選択的にテトラチアフルバレンを修飾する方法を見つけており、次年度に向けての準備が整ってきている。また、その研究の途上で、ポルフィリンを基質とすることで、興味深い光合成中心モデルを合成することにも成功しており、予想外の発展を見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
同一時空間反応集積化のメリットを最大限活かした複数の炭素―炭素結合の一挙構築を利用して、超高効率でπ共役系母核を修飾し、興味深いπ共役系分子を発見することができた。機能性分子の効率的修飾法をさらに開拓し、有用な機能性分子を発掘したい。 より具体的には、これまで確立したTTFの自在修飾法を基に、斬新なTTF誘導体を集積合成する。例えば、TTFテープ、TTFチューブ の合成を目指す。合成した多量体の光・電子物性、ホストゲスト化学についても検討する。
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