2012 Fiscal Year Annual Research Report
交差カップリングの集積化を基盤とする縮合多環パイ共役系の効率合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106723
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 正毅 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10272709)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 交差カップリング / ジボリル化合物 / 縮合多環 / パイ電子共役系 / 環状ヨードニウム塩 |
Research Abstract |
有機エレクトロニクスの進歩に伴い、縮合多環パイ共役系分子の有用性が益々高まっている。本研究の目的は、「交差カップリング反応の多重集積化を基盤とする合成反応」を開発することにより、縮合多環パイ電子共役系の精密合成法を開拓することである。今年度は、まず、ジボリル化合物の二重交差カップリングを基盤とする環形成法の新たな展開として、1-アルキニル-2-(ジブロモエテニル)アレーンを求電子剤とする縮合ペンタレンの簡便合成法の開発に取り組んだ。ジボリル反応剤として 1,2-ジボリルスチルベンを、求電子剤として1-フェニルエチニル-2-(2,2-ジブロモエテニル)ベンゼンを選び、条件検討をおこなった。その結果、塩化パラジウム 10 mol% 存在下、配位子としてトリフェニルホスフィン 40 mol%、塩基としてリン酸三カリウム 6当量を用い、溶媒THF中で60 °C に加熱すると、目的のベンゾペンタレンが修理よく得られることを明らかにした。同条件を用いて、ジボリルアルケンやジブロモ化合物に電子求引基・電子供与基を導入しても、反応は中程度から良好な収率で進行した。 これまでにジボリル化合物と2,2′-ジブロモビアリールとの二重交差カップリング反応を開発している。入手容易なジブロモビアリールの多くは対称体に限られるので、二重交差カップリングを利用して合成できる縮合多環パイ共役系のバリエーション拡大を目指して、環状ヨードニウム塩を求電子剤とするカップリング反応を検討し、酢酸パラジウムを触媒を用いることにより目的とする環化反応が円滑に進行し、非対称型環化体が中程度ないし良好な収率で生成することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジボリル化合物の二重交差カップリングに分子内カルボパラジウム化反応を集積することによって、縮環ペンタレン骨格を一挙合成する反応設計が有効に働くことを確かめることができたので、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。また、環状ヨードニウム塩を二重交差カップリングの求電子剤として活用できることも見つかり、さらなる展開を目指しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
環状ヨードニウム塩を求電子剤とする二重交差カップリング反応の適用範囲の拡大を図る。
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Research Products
(3 results)