2012 Fiscal Year Annual Research Report
直接的芳香族カップリングを基盤とする高度パイ共役分子の集積合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106728
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 合成化学 / 遷移金属触媒 / カップリング反応 / 芳香族化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、新規なアリール置換芳香族およびヘテロ芳香族誘導体の創成にむけて、我々がこれまで手がけてきた配位性官能基をもつ芳香族基質の炭素-水素結合切断を含む触媒的直接置換反応を基盤として、パイ共役系が拡張した芳香環連結化合物を簡便に構築する集積合成法の開発を行うことを目的としている。本年度は、これまでの成果を踏まえ、銅を促進剤として用いた含窒素複素環の酸化的直接アリール化反応を中心に検討した。 まず、1-(2-ピリミジル)インドールとベンゾオキサゾールを基質に用い、酢酸銅存在下、オルトキシレンを溶媒に用いて条件検討を行った。その結果、150 ℃程度の加熱条件で過剰量の酢酸銅を用いると、窒素下で効率よく反応が進行した。また、適量の酢酸を添加すると収率の向上がみられた。一方で、銅の触媒化検討において、空気化で反応を行うと、20 mol%程度にまで酢酸銅を減らしても反応が進行することが分かった。この反応では、インドールおよびアゾールのベンゼン環に電子吸引基および電子供与基が置換しても反応は円滑に進行した。生成物のさらなる誘導体化に有用なハロゲン置換基も共存可能であった。インドールの3位にシアノ基のような電子吸引基が存在すると特に高い収率で生成物が得られた。また、ピロール誘導体上でもカップリングはうまく進行した。生成物中の2-ピリミジル基は塩基処理により容易に脱離可能であった。 反応機構について知見を得る目的で重水素ラベル実験を行った。(i)2位に重水素をもつベンゾオキサゾールは反応条件で 容易にH-D交換が起こった。(ii)一方、2位に重水素をもつ1-(2-ピリミジル)インドールのH-D交換は遅いが、ベンゾオキサゾールが存在するとH-D交換が加速された。これらの事実をもとに、C-H結合切断を律速段階に含む反応機構を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のように、銅を触媒あるいは促進剤として用いる集積的パイ共役分子の合成法の開発に成功した。一方で、ロジウムやルテニウムを用いる、新しいタイプのパイ共役拡張反応についても検討し、位置選択的ビニル化反応や縮環を伴う新規触媒反応系を見出し、1年間の当初計画以上の成果が得られた。次年度は、これらの反応のさらなる高度集積化を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化的クロスカップリング反応は、反応基質に前もってハロゲン化やメタル化を施す必要がなく、結合形成法として極めて有用である。特に本年度の中心的研究対象とした反応では、着脱可能な配向基を利用して反応を行えることが特徴である。今後、種々の金属触媒を組み合わせ、多様な基質を用いてパイ共役分子の合成研究を展開する。また、開発した反応を基盤とした新規機能材料の創成を目指す。
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Research Products
(8 results)