2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロフローシステムを用いた有機光反応の革新的手法の開拓
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106729
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
垣内 喜代三 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (60152592)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 有機光反応 / マイクロリアクター / キャピラリーリアクター / オンタイム計測 / CMOS半導体集積回路技術 / オンチップ偏光センサー / 光環化付加反応 |
Research Abstract |
本研究では、CMOSインテリジェントセンサーを集積化したマイクロフローリアクターを作製するとともに、それを利用したオンタイム有機光反応システムを開発することを目的とし、それによる高速、高収率、高選択的な有機光反応の創成を目指している。本年度はマイクロフローシステムを様々な有機光反応へと適用するとともに、オンチップ偏光センサーの試作と改良を行った。 有機光反応の検討については、マイクロフローリアクターの優位性や問題点の解明を目的とし、バッチリアクターとの詳細な比較検討を行った。マレイン酸とイソプロピルアルコールとの光付加環化反応においては、バッチリアクターに比べてマイクロリアクター、キャピラリーリアクターともに、収率のみならずエネルギー効率においても優れた結果を与えた。一方、ブテノリドとシクロペンテンとの[2+2]光環化付加反応においては、フローリアクターの外側に置いた光源から光を照射した場合、バッチリアクターに比べ反応時間は短縮できたものの、エネルギー効率においては劣る結果となった。以上の結果から、光源のエネルギーを無駄なく利用するマイクロフロー光反応システムを用いることが、エネルギー効率の優れた反応の達成には不可欠であることが明らかとなった。 オンチップ偏光センサーの試作・改良においては、CMOS半導体集積回路技術による偏光計測センサーを利用したin situ不斉計測システムの構築を目指し、インライン型不斉計測デバイスの小型化と計測機能の向上と超微細半導体プロセスの導入によるセンサー性能の向上を実施した。試作したセットアップでは目的のデータが得られず、計画の変更を余儀なくされた上に計測の不安定さが解消されない問題点が残されているものの、超微細半導体プロセスの導入により、6倍以上の偏光分解能が達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにマイクロリアクター、特にキャピラリーリアクターを利用することで、高効率な光反応が達成可能であることや、優れたエネルギー効率を示す光照射方法について明らかにすることができている。オンライン計測技術については、途中計画の変更を要した上に、計測の不安定さが解消されない問題点が残されているものの、改良型セットアップを利用することで測定の実施が可能となり、以前よりも偏光分解能の向上も達成できている。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
機光反応の効率化については、マイクロリアクター、キャピラリーリアクターを用いて、さらに多様な有機光反応、例えば不斉Paterno-Buchi反応などを検討し、マイクロリアクターを利用する光反応に関する分子設計に対する指針を得ることを目指す。 オンライン計測技術については、上述の試作から得られた知見を基に、計測機能の安定化を第一に解決し、目標である不斉光反応のオンライン計測の達成を目指す。
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