2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンの集積型精密変換法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106734
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友岡 克彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (70207629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 有機化学 / アルキン / アルケン / 酸素官能基化 / ヒドロシリル化 / オゾン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
不飽和炭化水素への官能基導入は有機合成化学における最重要な分子変換の一つである.なかでも,アルキンの付加反応による官能基化されたアルケンへの変換と,得られたアルケンの付加反応による更なる多官能基化,という連続変換は多様な分子合成の基礎となるものである.これに関して本研究では,1.アルキンのヒドロシリル化反応によるシリルアルケンの合成,2.シリルアルケンの付加型オゾン酸化とその後の変換による高度酸素官能基化,という連続変換に焦点をあて,各反応の高度制御法を開発するとともに,それらを集積化することで総じて,アルキン→シリルアルケン→多酸素官能基化された光学活性化合物,という変換を効率的に行う集積型新手法を開拓すべく検討した.H24年度は特に下記の2項目について集中的に検討し,成果を得た. 1.アルキンとジヒドロシランのヒドロシリル化反応による光学活性シランの触媒的不斉合成法の開発: ヒドロシリル化反応のエナンチオ制御によるキラルアルケニルヒドロシランの触媒的不斉合成について検討した.その結果,アルキンに対してキラル白金触媒の存在下,アキラルなジヒドロシランを作用させることでキラルアルケニルヒドロシランを光学活性体として合成することに成功した. 2.ケイ素上に不斉補助基を導入したシリルアルケンの合成とそれを用いる不斉オゾン酸化反応の開発:シリルアルケンの付加型オゾン酸化の立体化学制御に適したキラルケイ素部位を設計・応用して,従来にない不斉オゾン酸化反応の開発を試みた.種々検討の結果,TADDOL由来のヒドロシランと4-オクチンとの反応がシリルアルケンを収率良く与えることを,また,これにより得られたシリルアルケンのオゾン酸化が高い立体選択性(81% dr)で進行することを見出した.本結果は不斉付加型オゾン酸化反応の最初の成功例である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目的としているアルキンの付加反応による官能基化されたアルケンへの変換と,得られたアルケンの付加反応による更なる多官能基化について,新規で有効な手法の開発に成功した.これにより当初の目標をおおむね順調に達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した2種類の反応について,さらに精査,改良を加えることでより高度な立体制御法へと発展させる.また,それらを既存の反応と組み合わせ用いることでアルキンの集積型精密変換法としての展開を図る計画である.
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Research Products
(8 results)