2012 Fiscal Year Annual Research Report
空間的反応集積化と多重反応を用いた超効率的天然物合成法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106735
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 徹 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90241520)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロフローリアクター / カルボアニオン / 空間的反応集積化 / ポリエーテル / 天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
イェッソトキシンは、下痢性貝毒の原因物質のひとつとして、ホタテガイの中腸腺から単離された梯子状ポリエーテルである。我々は、α-シアノエーテル法を用いたイェッソトキシンの全合成研究を行っており、ABC環部、F環部、およびIJ環部セグメントをα-シアノエーテル法により連結することで、ABCDEFGHIJ環部の合成に成功している。ABC環部セグメントの合成は、トリフラートとフリルリチウムのアルキル化によるカップリングによる連結、Achmatowicz反応、および分子内オキサMichael反応を経由して合成した。しかし、トリフラートとフリルリチウムのアルキル化によるカップリングおいて、スケールアップをする際に問題があることが明らかとなった。すなわち、100 mgスケールのトリフラートAを用いた場合は反応が進行し、目的物Dが34% 、さらにTBS基が除去されたEが34% 得られた。一方、スケールを10倍にして1 gスケールのトリフラートAを用いた場合、目的物Dの収率が5% に激減し、TBS基が除去されたEの収率と合わせても収率は46% であった。さらに、この反応は再現性が無く、また、目的物がまったく得られず分解するのみで、トリフラートAやフラン誘導体Bが回収されない場合もあった。そこで、マイクロフローリアクターを用いてこの反応を行うことにした。フランのTHF溶液とs-BuLiのヘキサン溶液を0 ℃においてミキサー1で混合し、さらにトリフラートのTHF溶液と-45 ℃においてミキサー2と混合した結果、目的物を24%の収率で得た。トリフラートとフリルリチウムのアルキル化によるカップリングにマイクロフローリアクターを用いることによって、再現性を得ることには成功したが、今後、より収率の向上を目指して条件を検討していく必要がある。今後は、 A01班との共同研究の可能性を積極的に推進したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリフラートとフリルリチウムのアルキル化によるカップリングによる連結において、バッチ反応では再現性が得られず、スケールアップすると生成物が得られないという問題に対し、マイクロフローリアクターを用いることによって、再現性を得ることに成功した点は評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、より収率の向上を目指して条件を検討していく必要があり、 A01班との共同研究の可能性を積極的に推進して行く予定である。
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