2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属と酵素の複合固定化触媒による反応集積型不斉合成法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106738
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
赤井 周司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60192457)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リパーゼ / オキソバナジウム / 動的光学分割 / 集積反応化学 / 不斉合成 / メソポーラスシリカ / アリルアルコール / Diels-Alder反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,固定化酵素リパーゼと固定化金属触媒V-MPSを同時に使用することで,反応集積型不斉合成の新しい方法論を提唱することである。これには,リパーゼ触媒光学分割とV-MPSによるラセミ化が同時進行する「動的光学分割(DKR)法」(換言すると,同一時空間集積型反応),及び,DKRによって生じる光学活性エステルの分子内環化反応がone-potで連続的に進行する「多環状分子の不斉構築法」(換言すると,時間的反応集積法)が含まれる。平成24年度は研究実施計画に基づき,以下の成果を得た。 1.メソポーラスシリカ(MPS)の細孔 (内径約3 nm) 内部にオキソバナジウムを共有結合で固定化した新規触媒V-MPS,及び,ポリマー固定化リパーゼを同時に用いることで,ラセミ体アリルアルコールのDKRが進行し,光学活性エステルを高収率,高光学純度で与えた。本法はベンジルアルコール,プロパルギルアルコールにも適用できること,また,V-MPSとリパーゼの混合触媒は7回,回収再利用できることが分かった。さらに,本法を応用し,(R)-imperaneneと(+)-tanikolideを何れも短工程,高収率で不斉合成した。本法は,合成容易なラセミ体アルコールを単一の光学活性体に変換できる極めて有用な手法である。 2.ジエン構造を含むラセミ体アルコールとジエノフィル部位を含むアシル化剤との反応に上記の方法を適用し,DKRと分子内Diels-Alder反応がone-potで連続的に進行する新しいタイプの反応集積型合成法を開発した 。 3.種々のオキソ金属をメソポーラスの細孔内に固定化し,多様な機能を有する新規固定化触媒の創製を検討中である。その予備知見として,MPSの小さな内径(数nm)が金属触媒の反応性を向上させることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度当初、3つの課題を設定した。そのうち1つ(上記1)は計画以上の好結果を得た。また、上記2は計画通りに進展した。また、上記3はやや送れているが、研究は順調に進んでいる。これらを総合して、おおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は多様な機能を有する新規固定化触媒の創製(上記3)を推進する。また、多環状分子の反応集積型合成法(上記2)の基質適用性を拡張する。これを生物活性天然化合物の不斉合成に応用し、本法の実践性を検証し、また、問題点の解決を図る。
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