2012 Fiscal Year Annual Research Report
多点型の逐次活性化に基づく高次縮環π電子系の精密集積合成
Publicly Offered Research
Project Area | Organic Synthesis based on Integration of Chemical Reactions. New Methodologies and New Materials |
Project/Area Number |
24106742
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
羽村 季之 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (20323785)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | π共役系分子 / トリフェニレン / 反応集積化 / 拡張型ラジアレン / イソベンゾフラントリマー / 時間的反応集積化 / ベンザイン / 三量化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機伝導体や有機磁性体に代表されるπ共役系有機化合物は物性科学、材料科学における重要な物質群であるが、これらπ共役系分子を構成する芳香族化合物は機能の発現に重要な役割を果たしている。このような中にあって、トリフェニレンに代表される円盤状分子は、π-π相互作用による集積化や電気伝導性が知られており、機能性物質への応用が期待されている。本研究では、多方向への反応集積化が可能な高反応性分子として拡張型ラジアレンおよびイソベンゾフラントリマーに着目し、これをコアとする時間的反応集積化によるπ共役系ユニットの逐次導入によって多様な円盤状π共役系分子を合成することを目的とし、検討を行った。その結果、ベンザインの[2+2]環付加反応や三量化反応を駆使して拡張型ラジアレンおよびイソベンゾフラントリマー前駆体が簡便に合成できること、また、これらを加熱条件に付すと、四員環の開裂や逆Diels-Alder反応によって拡張型ラジアレンおよびイソベンゾフラントリマーが効率良く発生することを見出した。また、この知見を活かして、種々のジエノフィルとの多重付加反応によって多環式芳香族ポリケトン類が効率良く合成できることを明らかにした。特に、選択的な二重環付加反応によって得られる環付加体を適切に変換することによって、拡張π共役構造を有するジエノフィルが選択的に得られることを明らかにした。さらに、これを新たな時間的反応集積化に用いることによって、酸化・還元特性など、その化学的性質に興味が持たれる蝶々型構造を有する巨大芳香族ポリケトン類の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高反応性コア分子の合成に成功した。また、これらをコアとする種々のπ共役系ユニットの導入にも成功した。今後、機能性の面から興味の持たれる新奇π共役系分子の創製が可能になるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
イソベンゾフラントリマーをコアとする時間的反応集積化法を開発することができたが、今後、この手法によって得られる多様なπ共役系分子の新規物性の開拓と新しい機能の発見につながる重層的な研究を展開するとともに、具体的な標的分子の合成を行うことによって、この方法論の完成度を高める。
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