2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞ナノ領域と生体微小環境における核酸送達システムの動態と機能発現解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畠山 浩人 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任助教 (70504786)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 核酸医薬 / siRNA / リポソーム / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性核酸を癌疾患治療に応用するには、核酸を機能する場所である癌組織の癌細胞の中にまで届ける必要がある。本研究では癌組織へ効率的に核酸を送達可能なDDSの開発について、以下の研究を行った。 1)新規pH応答性カチオン性脂質の合成とin vitro機能評価 新規pH応答性カチオン性脂質YSK05を合成した。YSK05を含むpH応答性リポソーム(YSK-MEND)は粒子径80nm、siRNAの封入率90%以上、pKaはおよそ6.5であり、初期エンドソームなど弱酸性領域で正に荷電することが示された。in vitroノックダウン活性は従来のシステムと比較し100倍向上し、エンドソーム内の酸性化と正帯電によるエンドソーム膜との膜融合がエンドソーム脱出のメカニズムであることが示唆された(Sato, Hatakeyama, et al. J. Control. Release, 2012) 2)YSK-MENDのin vivo機能評価 YSK-MENDをマウスへ静脈内投与後、肝臓における標的遺伝子のノックダウンにより評価した。その結果、従来のMENDと比較して1/10以下の投与量で肝臓標的遺伝子をノックダウンすることに成功した(論文投稿準備中, 特願2012-11952)。次に、YSK-MENDによるがん組織へのsiRNA送達と標的遺伝子のノックダウンについて評価した。4mg/kgのsiRNA投与量でPEG-MENDを静脈内投与し50-60%程度のノックダウンが確認された。以上より、in vivoがん組織において標的遺伝子をノックダウン可能な全身投与型MENDの構築に成功した(Sakurai, Hatakeyama, et al. Mol Ther, in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規pH応答性脂質YSK05の合成とYSK05を含むリポソーム、YSK-MENDの開発を行った。YSK-MENDはin vitro培養細胞で高いノックダウン活性を示し、さらにYSK-MENDを静脈内投与するとin vivo肝臓でも高いノックダウン活性を引き起こすことに成功した。これらの成果により現在ヒトC型肝炎ウイスル治療への応用が進んでいる。またがん組織へ送達可能な効率的なYSK-MENDの最適化に成功し、実際に腎細胞癌モデルにおいて、0.75mg/kgという従来よりも低い投与量で標的遺伝子を60%ノックダウンに成功している。このようなシステムを用いることで、様々な癌種でのノックダウン活性を評価でき、in vivo癌組織においてどのようなパラメータが活性に大きく影響するか解析が可能になったため、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の課題に関して研究を進める。 1)サイズ制御を目的としたマイクロ流路によるMEND調製法の確立:予備検討で、がん組織における分布にMENDのサイズが大きく影響することを明らかとした。そこで、MENDの粒子径を従来の100nmから40nm程度にするために、マイクロ流路を用いる。流速や混合比など様々なパラメータの検討を行い、40nm程度のMENDを調製する。 2)がん組織におけるMENDの分布、内封核酸の活性に及ぼすサイズの影響の評価:サイズの異なる蛍光標識MENDを担癌モデルマウスへ静脈内投与後、腫瘍組織内のMENDの分布について、共焦点レーザー顕微鏡を用いて組織切片の観察やリアルタイムイメージングにより定性的に評価する。またフローサイトメーターによりどのような細胞へ分布しているか定量的な評価を行う。内封核酸としてsiRNAやmiRNA等を用いて、がん細胞の標的遺伝子の発現変化を定量的RT-PCRや、5'RACE法などにより評価し、MENDサイズの小型化ががん組織分布と核酸の機能性に及ぼす影響を評価する。 3)がん組織の生物学的特性の解明:上記実験を、腎細胞癌、大腸癌、肺癌、乳癌等で行うとともに、各癌種におけるがん細胞や間質、マクロファージ、血管等の生物学的特性を各マーカー遺伝子やタンパク質の発現を指標に検討し、どのような特性を備える癌種ではナノメディシンは効果が得やすいのか、またどのような特性が見られる癌種では送達が困難となるかの解明を行う。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] An integrated strategy with DNA microarray and non-viral in vivo siRNA delivery to discover novel therapeutic targets for type 2 diabetes.2012
Author(s)
Hayashi Y, Kajimoto K, Sato Y, Suemitsu E, Akhter A, Sakurai Y, Hatakeyama H, Hyodo M, Kaji N, Baba Y, Harashima H
Organizer
10 th Annual Discovery on Target
Place of Presentation
Copley Marriott Hotel (USA)
Year and Date
2012-10-01 – 2012-10-03
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