2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン応答性電界効果トランジスタによるナノ細胞毒性とナノメディシンの評価
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107507
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
合田 達郎 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (20588347)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タンパク質 / 静電電荷検出 / 電界効果トランジスタ / pH / 結合速度論 / 細胞膜トランスポーター / 高次構造 / 変性 |
Research Abstract |
タンパク質分子が元来有する表面電荷に着目し、電界効果トランジスタ(FET)を基とした半導体型センサーを用いて、その電荷を静電的相互作用に検出するという新たな手法を開発した。タンパク質の分子内電荷分布は非常に不均一であり、長距離の分子認識や複合体形成、生化学反応と密接にかかわっている。本研究では、吸着タンパク質の局所的な電荷情報を得ることで、分子レベルでの配向、変性過程などを評価することを検討した。高イオン強度溶液中における電荷検出は、溶液中の対イオンによって遮蔽されることを逆手に取り、タンパク質分子の接着斑近傍の電荷のみを選択的に検出できることが明らかとなった。また、既存のラベルフリー検出技術センサーによって得られた結果とFETセンサーで得られた結果とを比較することにより、吸着量の定量的な解析に加えて高次構造変化・分子配向といった定性的な情報を得ることが可能になった。 次に、イオン応答性電界効果トランジスタ(ISFET)を用いて、細胞膜を隔てて授受される水素イオンをトレーサーとして、 高感度(ΔpH = 0.01)、高時間分解能(Δt = 100 ms)、非侵襲で細胞膜トランスポーター活性を計測するセンシングプラットフォームを構築した。プロトン駆動型アミノ酸トランスポーターであるPAT1のプロリンに対する応答を観測したところ、トランスポーター活性を評価できることが判明した。なお、プロトンの移動を伴わないGAT1、ENaCにおいては、シグナルは検出されなかった。現在、不死化ヒト細胞を用いて、ナノ材料に対する細胞膜障害性を検討しているところであり、本技術の今後の応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画の遂行に関し、得られた知見をより詳細に検討する必要が生じ、装置を改良するまで、研究を延期することが必要となり、今年度おこなう予定であった研究意該当する研究用物品の購入が翌年度にずれ込んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在延期されている改良型検出装置の構築に取り組む。そして当初の計画に則って、生体分子・細胞・機能性ナノ材料・半導体デバイスを融合させ、電荷やイオンを信号変換要素として、生体分子のナノ界面での分子挙動、あるいは細胞とナノ材料との相互作用を高感度・高精度に評価することにより、生体分子の分子動態、ナノ材料に対する細胞毒性の一義的評価、細胞病態・治療効果・予後診断を科学パラメータにより統一的に評価することを目的とする。また、バイオミメティックス技術を用いて、生体内に存在する外部環境・局所環境に応じて変動するスマートな分子認識機構を再現する機能性ナノ界面を構築する。そうした機能性ナノ界面に対して半導体デバイスをセンサープラットフォームに用いることで、標的バイオ分子の静電荷や生化学反応にまつわるイオンを高感度・特異的に検出することが可能となる。これらバイオセンサーを用いて、細胞膜近傍の特定イオンを高感度・高精度に測定することにより、ナノ材料の細胞膜通過機構、各種オルガネラでの生化学反応に対する細胞内外でのイオン収支の解明、ナノ材料が細胞に形成する一時的なナノポアがもたらす胞膜障害性を定量的・一義的に評価することを目指す。
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Research Products
(23 results)
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[Presentation] がんマーカーを検出する簡易デバイスの創製2012
Author(s)
田畑美幸, 増野こずえ, 合田達郎, 松元亮, 前田康弘, 片岡知歩, 井上裕美, 岩井秀夫, 宮原裕二
Organizer
日本バイオマテリアル学会シンポジウム
Place of Presentation
宮城県、仙台市、仙台国際センター
Year and Date
20121126-20121127
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