2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内イメージングに向けた超高感度核酸プローブの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
樫田 啓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30452189)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DNA / RNA / 蛍光イメージング / モレキュラービーコン / Cy3 |
Outline of Annual Research Achievements |
mRNAの細胞内における局在性は細胞分裂や分化の過程において重要な役割を担っていることが近年明らかになりつつある。本研究では高感度な蛍光性核酸検出プローブの開発、及びそれを利用した細胞内mRNAイメージングを目指している。これまでにCy3を一分子導入したモレキュラービーコンの開発に成功している。今年度は新規Cy3誘導体を合成し、これを複数導入したモレキュラービーコンの開発について検討した。 まず、モデル系で検討行ったところ、合成したCy3誘導体は従来型と異なり二重鎖を不安定化せず、複数分子導入しても蛍光が消光しないことが分かった。そこで、実際にこの誘導体を複数導入したモレキュラービーコンを合成した。また、消光色素としてはニトロメチルレッドを導入した。ターゲットRNA存在下と非存在下で蛍光スペクトルを測定したところ、ターゲット存在下では非存在下と比べて発光強度が116倍増大することが分かった。従って、新規Cy3誘導体を利用することで従来よりも高感度なRNA検出に成功した。 次にこのモレキュラービーコンを用いた細胞内mRNAイメージングを行った。GFPプラスミドを導入した細胞を固定化し、モレキュラービーコンを加えて共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。その結果、GFPプラスミドを加えていない細胞では傾向が観察されなかったのに対し、GFPプラスミドを導入した細胞では強い発光が観察された。以上のことから開発したモレキュラービーコンが細胞内mRNAに利用可能であることが明らかとなった。 また、申請者らが開発した人工核酸であるSNAを用いたモレキュラービーコンを合成し、このモレキュラービーコンが高い酵素耐性を持つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新規Cy3誘導体を用いたモレキュラービーコンの開発を主として行った。ターゲット非存在下と存在下の蛍光強度の比は116倍となったことから高感度な検出が可能であることを明らかにした。また、本研究の目的である細胞内mRNAイメージングについてもモデル系ではあるが実現することができた。モレキュラービーコンの酵素耐性や更なる高感度化など解決すべき課題はあるものの、当初の研究目標通りにおおむね進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は①人工核酸を利用した酵素耐性型モレキュラービーコンの開発、②細胞内におけるmRNAの時空間的解析について主として検討する。①については我々が開発したSNAを利用する。SNAは天然核酸と大きく構造が異なるものの、RNAと安定な二重鎖を形成することをこれまでに明らかにしている。また、高いヌクレアーゼ耐性を持つことも見出した。そこでこのSNAを骨格に持つモレキュラービーコンを開発することで、酵素耐性を持ったモレキュラービーコンを開発する。また、SNAは相補的なSNAと極めて安定な二重鎖を形成するため、ターゲット検出感度の更なる向上も期待できる。 ②の細胞内mRNAイメージングに関しては、これまでに遺伝子導入したGFPのmRNA検出に成功している。今後は内在性のmRNAイメージングについて検討する。更に精細胞イメージングについても検討を行う。また、現在進めている共同研究を更に推し進めることによってmRNAの細胞周期に伴う変化や細胞におけるmRNAの局在性について詳細な検討を行う予定である。
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