2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己集合型ナノプローブによる細胞内酵素反応のリアルタイム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 講師 (70467827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 自己集合 / 蛍光性ナノプローブ / 細胞内酵素反応 / リアルタイム解析 / レシオメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
生体を構成し生命活動を司る細胞環境において、酵素が関与する生体反応は、生命機能を理解する上で重要である。また、ドラッグデリバリーシステムでのナノキャリアからの薬剤放出のトリガーとしてなど、ナノメディシンにおける細胞機能制御や医療応用の鍵物質としても、酵素は非常に重要な意味を持っている。そのため、これら酵素反応を非侵襲的に可視化し、分子レベルで理解することは、そのシステムを有効に利用するための基礎的知見として不可欠である。 我々は自己集合した蛍光色素誘導体が細胞内酵素との反応をトリガーとして分散することを基本原理とした、OFF/ONのスイッチングが可能な自己集合型ナノプローブの開発に成功している。キサンテン骨格を有する蛍光色素の一種であるSNARFに対して細胞内酵素との特異的な反応により脱離する置換基を修飾することで、水溶液中において100 nm程度の非蛍光性の自己集合体を形成することができる。この置換基が、酵素反応を経て脱離することで、自己集合体は速やかに分散し、単体となった蛍光色素が蛍光性を回復するという原理である。これまでに導入する置換基をスクリーニングすることにより、どのような化学的特性を有する置換基を導入した際に自己集合体を形成するのかという構造活性相関を評価し、自己集合型ナノプローブの合理的設計法(第一世代)の確立に成功している。本年度は、この構造活性相関をさらに展開し、同一の置換基であっても、導入する位置を変化させた際に自己集合型ナノプローブを形成することが可能であるのかを評価した。また、蛍光色素骨格を変化させた場合に、どのような影響があるのかについても評価をおこなった。さらに、第一世代の自己集合型ナノプローブを用いて、細胞内酵素反応を検出する事は確認できていたが、どのようなメカニズムによって細胞内に取り込まれ作用するのかについて詳細な評価をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに開発していた第一世代の自己集合型ナノプローブを基に、第二世代および第三世代と展開し、その結果から自己集合型のナノプローブの作成に重要な知見を得ているため。さらにこれまで謎であった我々に自己集合型ナノプローブの細胞内動態解析についても成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでに得られた知見を基に、実際の細胞内酵素反応をリアルタイムに観察していく。既に獲得した自己集合型ナノプローブを用いた機能評価を行い、その結果を受けてさらに改良を加えていく。
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