2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗原ペプチドナノファイバーの形態に由来するキャリア機能探索と樹状細胞機能の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107514
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 直毅 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60243127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ペプチドナノファイバー / 免疫制御 / 抗原提示細胞 / がんワクチン / 細胞内移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫療法実用化に向けた抗原デリバリーキャリアの開発において、ナノキャリアの形態が抗原提示細胞との相互作用やその機能に大きく影響することが認識されている。球状ナノ粒子状キャリアに関しては、その表面組成やサイズなどが細胞機能に与える影響が系統だてて調べられている。しかしながら、その一方でナノファイバーやナノチューブなどの異方性形態を持つ抗原ナノキャリアに関する報告例は、極めて少なく十分な知見が集積されていない。一方、申請者は、アミロイド性ペプチドが形成するナノファイバー状会合体に着目し、これを抗原デリバリーキャリアへと応用する研究を推進してきた。本研究では、ワクチンデバイスの構造を精密に制御し、その構造が樹状細胞の免疫機能にどのように影響するかについて詳細な評価を行う。これらから得られる知見を整理することで、樹状細胞の免疫機能の理解を深めるとともにその機能を制御するためのワクチンデバイスの設計指針を確立することをねらいとする。平成24年度は、『ナノファイバーの表面、線維長、形態制御技術の確立』について検討した。細胞やタンパク質との相互作用の小さいオリゴエチレングリコール(oligoEG)、細胞表面との相互作用の高い膜透過性HIV-TATペプチドをを付加した抗原担持自己組織化ペプチドを設計した。溶媒条件を検討してこれらのペプチドが均一のナノファイバーを構築するとともに、得られたナノファイバーの構造を電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、赤外分光、X線回折などにより詳細に解析した。さらにナノファイバーを蛍光色素でラベル化し、フローサイトメトリー測定により抗原提示細胞による取り込みを定量的に評価した。その結果TATペプチドで修飾したナノファイバーが細胞表面に結合するのに対して、oligoEGで修飾した場合細胞膜内に局在化していることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の達成目標としてナノファイバーの表面、線維長、形態制御技術を確立するとともに、抗原提示細胞への取り込み挙動を解析することを計画した。細胞やタンパク質との相互作用の小さいオリゴエチレングリコール(oligoEG)、細胞表面との相互作用の高い膜透過性HIV-TATペプチドを付加した自己組織化ペプチドを設計し、抗原配列を担持するナノファイバーを構築することに成功した。得られたナノファイバーの構造を電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、赤外分光、X線回折などにより詳細に解析した。さらにナノファイバーを蛍光色素でラベル化し、フローサイトメトリー測定により抗原提示細胞による取り込みを定量的に評価した。その結果TATペプチドで修飾したナノファイバーが細胞表面に結合するのに対して、oligoEGで修飾した場合細胞膜内に局在化していることが判った。以上により本研究は当初も計画通り進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に得られたナノファイバーの構造とこれを抗原デリバリーキャリアとして用いた際に、樹状細胞の機能に与える影響を評価する。具体的には、『ナノファイバーの取り込み機構』『ナノファイバー取り込みに伴う酸化ストレス反応および成熟化』および、『抗原提示能』について、細胞培養および分泌サイトカインの定量などにより詳細に解析する。ナノファイバーの構造と細胞機能の評価より得られた知見を相関づけることで、樹状細胞の免疫機能の理解を深めるとともにその機能を制御するためのワクチンデバイスの設計指針を確立する。
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Research Products
(6 results)